【RIZIN】榊原実行委員長が見るRIZINの未来「日本で圧倒的に求心力ある舞台に」
今シーズンの大きな可能性や方向性の一つとして、立ち技の大会も考えられる
那須川天心を中心とした立ち技の大会も「可能性としては考えられる」と話す榊原実行委員長 【(C) RIZIN FF】
それはまだこれからですが、今シーズンの大きな可能性や方向性の1つとして十分あると思います。那須川天心を中心とした“世界最強の立ち技異種格闘技戦”ですよね。限られた選手の中での順位決定戦というのはそもそも僕らのフォーマットに合わないので、やるのであれば過去のK−1がそうであったように、オープンな形で開催したいと考えています。キックボクシングというものに限定せずに、総合格闘技から出てくればいいし、それこそコンバットサンボやムエタイ、空手家が出てきてもいいと思います。そういう選手たちがしのぎを削るような戦いというのが、新たなチャレンジとしてあってもいいのかなと。これはRIZINにDEEPやパンクラス、修斗の王者が出てきてくれているように、立ち技の競技会をやれたらいいかなということです。
その先にもし興行・エンターテインメントとして成り立つのであれば、スピンオフさせて立ち技だけの大会というのも将来的にはあるかもしれません。女子だけの大会がDEEPジュエルスのようにスピンオフしていくかもしれない。それは小さなものを生んで育てるというよりは、RIZINという生き物の中で生まれ、熱があるものをスピンオフしていく感じです。もちろんグラップリングだってその可能性はあります。
――では今年の戦いの中から、自然と熱を持ったものがそのように生み出されていくかもしれないと。
そうですね。僕らは競技としてユニファイド(統一されたもの)であったり、固定観念に縛られていたり、総合格闘技の可能性を狭めるようなことはしたくないんです。完成された総合格闘家は、完成されていけばいくほどスタイルや戦い方が似通ってくる。その完成度を競い合うことだけでなく、果たし合いやジャンル対ジャンルといった、みんながワクワクする戦いを具現化していきたいと思っています。ルールもその2人が戦うにふさわしいものにしていけばいいと思うし、それはある部分で実験の場であり試行錯誤の場でもあるわけです。必ずしも成功してみんなの心をつかむかどうか分からないですが、失敗を恐れて何もしないなんてことはしたくない。決められたルールと、決められたウェイトクラスの中だけで考えるのではなく、新しい変化球を投げたり、枠をはみ出したりしていくことで新しい進化や変化が起きていくんじゃないかなと思っています。
もう一度“メイド・イン・ジャパン”を世界に
過去のK−1やPRIDEのように“メイド・イン・ジャパン”という誇りを持って世界に打ち出す大会を企画していく 【スポーツナビ】
そうですね、もし競技を突き詰めていくのであれば、テレビ視聴率も気にせず、観客が入るとかスポンサーがつくということを度外視して、競技会を淡々とやっていけばいいと思います。ですが、僕らはやっぱりこれをスポーツエンターテインメントとして完成させて、プロフェッショナルな舞台を作っていきたい。それはやはり見る人たちの志向や何を求めるかによって常に変わっていくものだと思うし、ファンが支持するものを突き詰めていきます。常に最終のジャッジメントをするのはファンですから。逆に「きっとこういうことをしたらファンにもっと楽しんでもらえるだろう」という、半歩か1歩先のものを提示できるようにしていきたいと思います。
武道の国であり侍の国である日本で作られた“メイド・イン・ジャパン”というものに誇りを持って、このRIZINを磨いていきたい。今から10数年前にはK−1やPRIDEといういまだに世界中の人たちからも評価が高いプロモーションを送り出していた訳ですから、もう1度、われわれ日本人が中心となり作り出したものが世界へ羽ばたくことができるよう、まず日本で圧倒的に求心力のある舞台にしたいと思います。