「未来を託せる選手が期待以上に活躍」
榊原実行委員長が2017年を振り返る
3度目の年末興行を終えたRIZINを榊原信行実行委員長に振り返ってもらった
3度目の年末興行を終えたRIZINを榊原信行実行委員長に振り返ってもらった【(C) RIZIN FF】

 2015年10月に旗揚げを発表し、最初の年末興行を開催してから3度目の年越しとなった総合格闘技イベント「RIZIN」。17年末の大会では、「バンタム級トーナメント」「女子スーパーアトム級トーナメント」「キックボクシングトーナメント」を軸に、PRIDE時代からの聖地であるさいたまスーパーアリーナを熱狂させた。


 RIZIN発足から丸2年が過ぎ、日本の格闘技界も大きく陣容が変化。ニューヒーロー、ニューヒロインの誕生も著しかった17年を、榊原信行RIZIN実行委員長に振り返ってもらった。

堀口が来たことで「本物」を見せられた

創設当初から掲げていた“三本の矢”の理念が、しっかりとつら抜かれた2年間となった
創設当初から掲げていた“三本の矢”の理念が、しっかりとつら抜かれた2年間となった【スポーツナビ】

――RIZINとしては3度目の年末大会、そして丸2年を終え、2018年を迎えました。特に昨年末の大会を見ると、RIZINの陣容がだいぶ変わってきた印象を受けましたが、実行委員長ご自身はどのように感じていますか?

 これはRIZINという舞台を作る上の理念として“三本の矢”を放ちますと、スタートした当初から僕らは言ってきました。1つは今年の年末に迎えるミルコ・クロコップのような、日本の格闘技に貢献してくれた選手たちの最終章、引退の場というものを整えていきたい。やはりそれはファンにとっても記憶に残るエモーショナルなものになるはずです。ですので“完結”というテーマがまず1つ。


 もう1つは日本の格闘技界をこれから背負って立てる選手、これは女子トーナメトを制した浅倉カンナや、残念ながら今回は優勝を逃してしまいましたがRENAもそうだし、真珠・野沢オークライヤーや矢地祐介といった選手。もちろん那須川天心が総合格闘技に打って出るのもそうだろうし、そういう若い世代を日本人に限らず送り出していく“息吹”。


 そして最後の1つは“未来”です。人によっては1993年のUFC誕生を総合格闘技の起源という人もいますが、僕らは1976年の「アントニオ猪木vs.モハメド・アリ」をその起源と位置づけています。異種格闘技戦というこれまでにない形で始まって、その後佐山聡さんを筆頭にいろいろな人たちによって総合格闘技というものが体系づけられていきましたが、そう考えた時にこの競技は誕生してまだ数十年のスポーツなんです。でもこれが、サッカーとか野球のように100年規模で続いて次の世代、またその次の世代へ受け継がれていくためには、テニスのウィンブルドンや、サッカーのクラブワールドカップやチャンピオンズリーグのようなものを作って、このスポーツの新しい未来を考えていくということにチャレンジをしなくてはいけないと思うんです。各プロモーションが世界中に乱立して、そのプロモーションごとに成立はしているのですが、みんながこの総合格闘技というスポーツをきちんと考えて、横に繋がる機会というのが今までなかった。だから僕らは世界中のプロモーションの代表選手が年に1度RIZINに出てくる、そういう“競技会”を作りたいと考えているのです。


 それからこのスポーツの未来を考えた時、やはり普及・育成というのはとても大事なので、年末に格闘技EXPOというものを行って、底辺を拡大していくこともやり続けていきたいと思っています。


 こういったことをRIZINはスタートした当初から掲げていて、ようやく2年がたった中で、少しずつ花開きつつあると思います。


 RENA選手も15年の大晦日にMMAへ初チャレンジをして、そこから彼女を中心に女子格闘技が世の中のスポットライトを集めることになって、今年は女子だけのグランプリが開催されました。しかし「ジョシカク」の未来の扉を開いた彼女が、さらなる若い世代にいる浅倉選手に敗れるという非常にドラマチックな展開が、日本人選手を中心に起きているというのはスゴいことですよね。


 PRIDEでも桜庭和志が時代を牽引し、その次の世代の五味隆典と三崎和雄という2人の日本人チャンピオンが誕生しましたが、その当時で言うと圧倒的に外国人が求心力を持ってPRIDEという舞台を回していました。ですから今、本当に堀口恭司の活躍を見ると、RIZINという舞台の中で、PRIDE時代の桜庭選手のような匂いというか、そういった存在になり得るのではと感じますよね。あの当時は当然ほかの試合もありましたが、ファンはもう圧倒的に桜庭選手の試合を見に来ていました。桜庭選手の試合を見るためだけに来るファンが何千人といたんです。それと同じようになる可能性が堀口選手にはあります。


 UFCとの契約を残しているのにRIZINへ来るというのは堀口選手にとっても大きな決断だったと思います。堀口選手が来るのであれば、彼の階級には日本人のトップアスリートもたくさんいるので、僕らも思い切ってフライ級やバンタム級にスポットライトを当てようと。堀口選手という世界に打って出られる本物がRIZINに参加してくれたからこそ、われわれもこの階級に舵を切ることができたのだと思います。


 これは天心選手もそうだし、世界中に発信できるような本物の実力を持っている若い選手たちが、活躍の場を与えてあげたことで気持ちよく泳いでいるということだと思います。

長谷川亮

1977年、東京都出身。「ゴング格闘技」編集部を経て2005年よりフリーのライターに。格闘技を中心に取材を行い、同年よりスポーツナビにも執筆を開始。そのほか映画関連やコラムの執筆、ドキュメンタリー映画『琉球シネマパラダイス』(2017)『沖縄工芸パラダイス』(2019)の監督も。

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