未来に目を向け始めたバルセロナ リーガを実質的に制し、カップ戦に注力

難敵ベティスにも5−0で大勝

ベティス戦を5−0で制したバルセロナは、ラ・リーガのタイトルを実質的に手にしてしまった 【Getty Images】

 たとえ世界で最もポジティブなファンであっても、こんなことになろうとは想像できなかったはずだ。まだシーズンの半ばだというのに、バルセロナは他のライバルチームに大差をつけ、ラ・リーガのタイトルを実質的に手にしてしまった。

 20節を終えた時点で、既に2位のアトレティコ・マドリーとは勝ち点11差、3位のバレンシアには14差、そして4位のレアル・マドリーには16差もつけている。よって21日(現地時間)のベティス戦においても、バルセロナはいたって冷静に試合を攻略していた。

 6日に敵地でセビージャとのダービーを5−3で制した好調のベティスは、今季レアル・マドリー相手にも金星を挙げている注意すべきライバルである。そんな相手に対し、エルネスト・バルベルデ監督はディフェンスラインでは中国移籍が決まる間近だったハビエル・マスチェラーノ、中盤ではアンドレス・イニエスタ、前線はウスマン・デンベレ、パコ・アルカセルを欠き、さらには新加入のフィリペ・コウチーニョとジェリー・ミナも使わずに予期せぬ5−0の大勝を挙げ、優勝争いに動きが生じる一切の可能性を排除してしまった。

 今季のバルセロナは前半の内容が悪い試合が多い。それでも選手たちが落ち着き払ってプレーすることができているのは、十分な貯金があることに加え、彼らが90分間の使い方を熟知しているからでもある。

今後、最も重要なのはCLチェルシー戦

立ち上がりはベティスに押し込まれたが、ラキティッチの先制点が試合の均衡を破った 【Getty Images】

 ベティス戦もそうだ。この日もバルセロナはボールを独占しつつ、攻撃に関してはリオネル・メッシのタレントに最大限頼るべく、MFを1人増やした4−4−2のシステムでスタートした。最近は不調を脱したルイス・スアレスがゴール数を伸ばしているものの、彼が前線で孤立しがちな現在のシステムは、過去数シーズンの4−3−3と比べて攻撃面で迫力を失った感は否めない。

 立ち上がりは地元ファンの後押しを受けたベティスに押し込まれたが、バルセロナは徐々に試合のリズムを落ち着かせていった。その間、何度かゴール前に上がったイバン・ラキティッチを除いて、中盤の選手がチャンスメークに絡むことはほとんどなかった。だが後半14分には、そのラキティッチが先制点をマーク。このゴールが試合の均衡を破るとともにバルセロナの選手たちが持つタレントを解放し、ゴールラッシュをもたらすことになった。

 この試合の大勝は、優勝争いの大勢が決したことをあらためて印象づけた。伝統の4−3−3、もしくは攻撃的な4−4−2の布陣に必要なメンバー選びに苦労する中、困難なアウェー戦で逆境に立たされながらも、これだけ大差をつけられるのであれば、ホームにアラベスやヘタフェを迎える今後の試合はどうなるというのか。

 今後3試合の中で苦戦が予想されるのは、2月4日に控えるエスパニョールとの敵地でのダービーくらいだ。つい先日、コパ・デル・レイ(国王杯)の準々決勝で対戦したエスパニョールにはアウェーのファーストレグに0−1で敗れ、8月のスーペルコパから続いていた不敗記録が途絶えた。

 とはいえ、ホームのセカンドレグでは2−0で逆転に成功し、準決勝ではバレンシアと対戦することが決まっている。この2試合にはウスマン・デンベレ、トーマス・フェルマーレンの復帰は間に合わないものの、現時点で最も重要な一戦となる2月20日のチェルシーとのチャンピオンズリーグ(CL)決勝トーナメント1回戦第1戦までには全選手がそろう見込みだ。

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著者プロフィール

アルゼンチン出身。1982年より記者として活動を始め、89年にブエノス・アイレス大学社会科学学部を卒業。99年には、バルセロナ大学でスポーツ社会学の博士号を取得した。著作に“El Negocio Del Futbol(フットボールビジネス)”、“Maradona - Rebelde Con Causa(マラドーナ、理由ある反抗)”、“El Deporte de Informar(情報伝達としてのスポーツ)”がある。ワールドカップは86年のメキシコ大会を皮切りに、以後すべての大会を取材。現在は、フリーのジャーナリストとして『スポーツナビ』のほか、独誌『キッカー』、アルゼンチン紙『ジョルナーダ』、デンマークのサッカー専門誌『ティップスブラーデット』、スウェーデン紙『アフトンブラーデット』、マドリーDPA(ドイツ通信社)、日本の『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿

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