未来に目を向け始めたバルセロナ リーガを実質的に制し、カップ戦に注力

今のバルセロナは結果主義的なチームだが……

数年前のスペクタクルなチームとは程遠いバルセロナだが、それでもメッシによる魔法の時に立ち会えることはある 【Getty Images】

 メッシは19ゴールを挙げてピチチ(リーガ得点王)争いの首位を走り、スアレスも15ゴールで2位に続く。2人にさしたるライバルは見当たらず、タイトルを争うべきアトレティコ・マドリー、バレンシア、レアル・マドリーにはカンプノウでのアウェー戦が残されている。もはやバルセロナは新たなリーグ優勝を祝福するまでの残る日数を数えつつ、他のコンペティションでの戦いに力を注げばいい状況にある。

 しかしながら、フットボールでは試合結果がプレー内容を正しく反映しないことが多々ある。その点、バルベルデもバルセロナのファンも自身にうそをつくことはできない。現在のバルセロナは、唯一無二のスペクタクルを提供してくれた数年前のチームとは程遠いレベルにある。

 素晴らしい攻撃の組み立てや、驚異の決定力をかいま見せることもあるだろう。だが忘れられない芸術的ショーが見られると期待させた当時とは違い、今のバルセロナはもっと結果主義的なチームになっている。

 当時のようなプレーが見られるとすれば、それはメッシに最高のインスピレーションが湧き出た時に限られる。例えばベティス戦で披露した信じられない股抜きにより、アンドレス・グアルダードを置き去りにしたプレーがそうだ。

 今もまだそのような魔法の時に立ち会えることがあるのは、幸いにもフットボールがわれわれにそのような機会を与えてくれているからなのだ。

(翻訳:工藤拓)

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著者プロフィール

アルゼンチン出身。1982年より記者として活動を始め、89年にブエノス・アイレス大学社会科学学部を卒業。99年には、バルセロナ大学でスポーツ社会学の博士号を取得した。著作に“El Negocio Del Futbol(フットボールビジネス)”、“Maradona - Rebelde Con Causa(マラドーナ、理由ある反抗)”、“El Deporte de Informar(情報伝達としてのスポーツ)”がある。ワールドカップは86年のメキシコ大会を皮切りに、以後すべての大会を取材。現在は、フリーのジャーナリストとして『スポーツナビ』のほか、独誌『キッカー』、アルゼンチン紙『ジョルナーダ』、デンマークのサッカー専門誌『ティップスブラーデット』、スウェーデン紙『アフトンブラーデット』、マドリーDPA(ドイツ通信社)、日本の『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿

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