尹晶煥監督「あり得ない1年だった」 天皇杯決勝後 C大阪、横浜FMの監督会見

スポーツナビ

天皇杯決勝はC大阪が延長戦の末に横浜FMを下し、43年ぶり4度目の優勝を飾った 【写真は共同】

 第97回天皇杯全日本サッカー選手権の決勝が1月1日、埼玉スタジアム2002で行われ、セレッソ大阪が横浜F・マリノスを延長戦の末に2−1で下し、前身のヤンマーディーゼルサッカー部時代以来となる43年ぶり4度目の優勝を飾った。C大阪はルヴァンカップに続き、今季2冠。横浜FMは退任するエリク・モンバエルツ監督の花道を飾ることはできなかった。

 試合は、横浜FMが前半8分に伊藤翔のゴールで先制し、1点リードで前半を終えたが、C大阪は後半20分に山村和也が決めて追いつき、1−1で延長戦に突入した。延長前半5分には、山村のクロスに水沼宏太が頭で合わせて、C大阪が勝ち越しゴール。そのまま横浜FMを振り切った。

 以下は、試合後の両監督のコメント。

尹晶煥監督(C大阪)のコメント

延長前半5分に決勝点を挙げたC大阪の水沼宏太 【写真は共同】

「変わったのは自己犠牲と献身性、諦めない姿」

 まず、新年おめでとうと申し上げたい。今日の結果はうれしい。われわれにとっては、あり得ない1年だった。プレーオフから(J1に)昇格して、ここまでの成績を挙げることは簡単ではない。2つの大会で優勝して、リーグ戦でも3位になった。これは誰か1人の力で成し遂げたことではなく、全選手、全スタッフ、セレッソにかかわるすべての人々が力を合わせて達成した結果だと思う。2018年もこの結果を続けられればいいが、そう言い切れるものではない。

 今日は非常に厳しい戦いになると予想したが、予想以上に厳しい試合だった。17年の1年間、走り切ってくれた選手たちがもたらした結果だ。選手たちに感謝したい。現役時代、優勝できなかった天皇杯を制したことに感激しているし、うれしく思う。しかしこれがすべてではない。すでに来季まで1カ月しかないが、早く休暇に入ってリカバリーをして、次のシーズンに向けていい準備をしなければならない。今年1年間、皆さんお疲れさまでした。本当に感謝しています。

──ルヴァンカップも今日も厳しい試合だった。これまでのセレッソは、こうした試合でなかなか勝てないイメージがあったが、何を監督は変えたのか?(大住良之/フリーランス)

 昨日も同じ質問を受けたが、逆に皆さんに質問したい。選手たちは何が変わっただろうか? 私が就任してちょうど1年になるが、私が来る前に選手たちがどういう姿だったのか、なぜそういう質問を受けるのか、非常に気になる。

 原因として考えられるのは、勝とうとする姿勢だ。そしてチームとしてやろうとするプレーを、1人ではなく全員でやろうとするところがピッチ上で表現できていた。そして自己犠牲と献身性、諦めない姿を見せることが、今のセレッソの選手たちが最も変わったところだと思う。それが肉体と精神に染み付いて、勝利に結びつく原動力になったと思う。

──さまざまな人間がチームにかかわる中で、同じ方向に向かうためには何が一番大事だと思うか?(湯浅健二/フリーランス)

 自分なりに考えて、これが正解か分からないが、「信頼」ではないかと思う。お互いの人格をみんなが尊重すること、そしてチームとして目標と各自の目標が合致したこと。目標が明確だったので、監督として管理もしやすかった。反発する選手、陰で文句をいう選手もいると思う。私自身、現役時代にそういう言動をしたことはあった。それでも時間が経てば、自分に足りなかったことに気づくだろう。私の立場からすれば、選手が変わるまで待つべきだし、われわれがいい結果をもたらすことができるのは、選手が変わったからだと思う。選手やフロントみんなが同じ気持ち、同じ目標に向かって仕事をしていることが良い結果を生んでいるのだと思う。

──鳥栖時代からずっと一緒にやっていた水沼が結果を残した。この1年、彼はどんな役割を果たしてきたのか?

 水沼は私のことを知り尽くしているので気をつける必要がある(笑)。この1年間、順調だったのは、水沼がいたからだと言っても過言ではない。なぜなら私の考えを選手たちにうまく伝えて、サッカーのスタイルも含めて、いろいろな面で私にはできない仕事を見えないところでよくやってくれたからだ。

 キャプテンでも副キャプテンでもないが、このチームで何かを成し遂げないといけないという気持ちがあったと思う。今日、ヘディングでゴールを決めたのは初めて見たが、それくらい本人も努力したから、この結果につながったのだと思う。そういう選手ならば、誰であっても私がサポートしなければならない。それがチームの力になると信じているからだ。

──今日の試合は先制されて、ゲームを支配しながらなかなか点が取れない展開が続いた。ルヴァンカップで優勝した経験がメンタルに影響したことはあったか?(田村修一/フリーランス)

 ないと言えば嘘になる。ミーティングでもその部分を強調して言った。選手の人間なので、気持ちが弱くなる部分もあったと思う。厳しい状況ではあったが、全選手が弱くなっているわけではない。何か足りない部分を周りの選手が埋め合わせれば、十分に戦えると思っている。そういう部分が「信頼」なのではないか。

 もちろん交代で下がった選手は少し気分が悪かったと思うが、チームの勝利のためには説得するしかないし、そういう選択をしなければならない立場に私はある。全選手がいいコンディションだったら、90分以内で勝負はついていた。しかしそうではなかったので、いろいろなことを考えて選択と決断をしなければならなかった。これからセレッソ大阪がさらに発展と成長をするには何が必要なのか、さらに見極めていく必要がある。

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