【J25周年企画】日本サッカーのルネサンスだった風間理論

西部謙司
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ボールは本当に止まっているのか?

プロの選手ならどれも当たり前にできるボールを止める、蹴るということ。風間監督はそこにある疑問を投げ掛けた 【Getty Images】

 風間八宏監督の理論は日本サッカーのルネサンスだった。

 ボールを止める、蹴る、ドリブルをする――プロの選手ならどれも当たり前にできる。できることを前提に戦術は作られている。ところが、風間監督はそこへ重大な疑問を投げ入れた。

「本当に止まっているのか?」

 実はJリーグのプロ選手でも大半はボールを止められていない。風間監督の基準ではボールを止めるとは「静止させる」ことだからだ。少しくらいボールが動いてもプレーに支障はない、それにわざと動かしている場合もあると思うかもしれないが、風間理論ではそれは「運ぶ」であって「止める」ではないという。どっちだっていいじゃないか……おそらく多くの選手はそう言うだろう。しかし、それは風間監督にすれば「認識がない」状態なのだ。「止める」と「運ぶ」の区別がついていないから、止められもしなければ運べもしない。

 実際、風間監督が新しいチームで始動するにあたって「こういうふうに止めろ」と見本を見せて選手にやらせても、すぐにできる人はほとんどいない。プロ選手なのに実はボールを止めることができない。われわれはこの事実をどう受け止めればいいのだろう。

 ボールを静止できなくて1回転させてしまっても、その選手のプレーにはそんなに大きな影響はないと思う。それでこれまでやってきて、プロにもなれているのだから。風間監督が止める、蹴るといった技術の定義を明確にしているのは、それがチームの「共通言語」になるからだ。サッカーの共通語は「タイミング」である。
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著者プロフィール

西部謙司

1962年9月27日、東京都出身。サッカー専門誌記者を経て2002年よりフリーランス。近著は『4−4−2戦術クロニクル』『サッカー観戦Q&A』。タグマにてWEBマガジン『犬の生活SUPER』を展開中

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