【J25周年企画】ロマンティックだったオシムの戦術 「リスクを冒せ! コントロールせよ!」
多くのチームはバランスの重心を守備寄りにとるが……
ジェフ千葉で展開されたオシム監督のサッカーの特徴をひとことで表現すれば、「リスクを冒す」ということ 【写真:アフロスポーツ】
1958年ワールドカップ(W杯)でブラジルが初優勝したときのMVP、ジジは「サッカーは寸法の足らない毛布」と言った。足下に下ろせば上半身が出てしまう、頭からかぶると足下が寒い。攻撃と守備のバランスをとるのは難しい、いや完全なバランスなどないという喩(たと)えである。
多くのチームはバランスの重心を守備寄りにとる。つまり、まず失点しないことを優先し、攻撃は失点しない程度に行う。何が何でも得点しようとすれば、失点のリスクだけが増大するからだ。サッカーは点が入りにくいボールゲームなので、あまりアテにならない攻撃に注力するよりも、守備から入ったほうが効率的というわけだ。
「壊すのは簡単だが、作るのは難しい」
オシム監督も認めている。しかし同時に、こうも言うのだ。
「作るほうが素晴らしい人生だと思いませんか?」
リスクは常にある。どれだけ失点を回避しようとしてもノーリスクにはならないのもサッカーだ。ならば、「リスクを冒せ」というのがオシムの考え方だった。
ノーガード状態をキックオフ時点から意図的に作る
オシム監督は、このアディショナルタイムでのノーガード状態をキックオフ時点から意図的に作ろうとしたともいえる。ただし、「リスクをコントロールしろ」とも言っていた。あえてリスクを冒すかわりに、リスクをコントロールすることで優位に立とうとしたわけだ。
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