オリックス平野佳寿は謙虚にメジャーへ 心身ともにタフな名リリーバーの挑戦
12月26日、ダイヤモンドバックスへの移籍報告会見を行い、異国での奮闘を誓った平野 【写真は共同】
12月26日にオリックスの球団施設で報告記者会見を行った平野は、ダイヤモンドバックスを選んだ理由について、「一番初めにオファーをいただいていましたし、GMや監督とお会いした時に、僕に対する熱意を持って誘ってくれたので、『これだけ評価していただいてたんだな』と思ったのが一番の決め手になりました」と答えた。
ダイヤモンドバックスのトーリ・ロブロ監督はヤクルト(現東京ヤクルト)でのプレー経験があるということも大きかった。
「監督も日本でプレーしていたので、海外でプレーする選手の気持ちや、家族の気持ちをわかってくれていて、『しっかりサポートする体制を整えるから』と言っていただいたのは本当に嬉しかったですね」
対戦を楽しみにしているバッターは? と聞かれると、少し考えてから「大谷君」。エンゼルスへの移籍が決まり、前日に札幌ドームで記者会見を行ったばかりの大谷翔平の名前を挙げて笑いを誘った。また、移籍先が決まって「ホッとした」と明かし、終止晴れやかな表情だった。
WBCでも活躍した剛腕
14年は、比嘉幹貴や馬原孝浩から佐藤達也、平野へとつなぐ勝利の方程式が盤石で、福岡ソフトバンクと激しい優勝争いを繰り広げた。平野はパ・リーグ新記録となる40セーブを挙げ、セーブ王に輝いた。この年のオフにメジャーの球団から誘いがあり、それをきっかけにメジャーを意識し始めたという。
オリックスでは絶大な存在感を発揮していながら、侍ジャパンには縁がなかったが、今年、33歳で初めてワールド・ベースボール・クラシック(WBC)のメンバーに選出された。初戦こそ失点したものの、その後は5試合連続無失点の完璧なリリーフで、相手の勢いを止める役割を見事に果たした。
米国で変えるべきところと変えない部分
以前、「行ってみないとわからないですけど」と前置きした上で、アメリカで変えるべきところと変えない部分をこう話していた。
「近年、こっちでは(打者が)フォーク待ちみたいな傾向も出ていたけど、向こうに行ったら僕のことを知らないバッターばかりなので、真っすぐ、フォーク、スライダーをうまく合わせて投げるというのは、自分の武器として変えなくていいとは思います。ただ、向こうに行ったら日本よりもフルスイングしてくると思うので、もっと高低を使うとか。あまり日本ではやっていなかったけど、テレビで見ていると、そういうことをしているピッチャーが抑えているように見えたので、真っすぐでも今までよりもしっかりと、全部の範囲を使うことが必要なのかなと思います」
その上で、平野が最も意識する数字は「登板数」だ。
「これは日本でもずっと言ってきたんですけど、向こうでもやっぱり50、60、70試合と、しっかり投げたいですね」
11年に72試合、12年に70試合に登板するなど、リリーフに転向した10年以降の8年間で計476登板を記録。この数字から、平野のタフさがわかる。