“衝撃的”な1年となったDDT
竹下が前人未到のKO−D王座V10

親会社「サイバーエージェント」で路上プロレスも

親会社となったサイバーエージェント社内での試合は「AbemaTV」で生配信された
親会社となったサイバーエージェント社内での試合は「AbemaTV」で生配信された【(C)DDTプロレスリング】

 DDTプロレスリングの本興行としては年内最後の聖地開催となる24日の「NEVER MIND 2017」東京・後楽園ホール大会では、クリスマス・イブらしい、華やかなムードで、KO−D2大タイトルマッチなどが行われた。


 旗揚げ20周年イヤーとなった2017年のDDTは、大きな「衝撃」に見舞われた1年であった。


 DDTは9月1日付で発行済み株式の100%を株式会社サイバーエージェントに譲渡。「AbemaTV」などを擁するサイバーエージェントグループの一員となり、今月21日には東京・渋谷のサイバーエージェント本社内にて行われた「DDT VS サイバーエージェント路上プロレス−男色死亡遊戯−」の模様が「AbemaTV」で生中継された。1978年に公開されたブルース・リーの主演映画の設定になぞらえ、藤田晋社長の唇を狙う男色ディーノが、社内の各フロアに待ち構える刺客を攻略しながら、次の階を目指して進んでいくのだが、武藤敬司や村上和成などの豪華ゲストも登場し、一般視聴者、そして何より、社内で普通に勤務している社員たちに、DDTという団体のインパクトを広く知らしめた。

武藤敬司(右)らも登場し、強烈なインパクトを残すことになった
武藤敬司(右)らも登場し、強烈なインパクトを残すことになった【(C)DDTプロレスリング】

 今年6月1日には、高木三四郎vs.鈴木みのるによる「東京ドーム全域を使ったノーピープル路上プロレス」を、会員制有料動画サイト「DDTユニバース」で生中継を行ったが、今回はそれを超えるスケールと悪ノリでさらにグレードアップ。「AbemaTV」といえば、元SMAPの3人による「72時間ホンネテレビ」が大きな注目を集めており、その中の企画でユーチューバー・草なぎ剛さんが、新木場1st RINGの「ガンバレ☆プロレス」でプロレスに挑戦。パートナーのディーノに唇を奪われ、大きな話題となったが、この超異色の顔合わせが実現したのも、DDTがサイバーエージェントグループ入りしたからこそである。


 会員制有料動画配信サービス&AbemaTVでの生中継を行っているプロレス団体は、日本では新日本とDDTのみ。創立45周年の歴史を誇り、プロレス業界のトップを独走する新日本とシステム的には肩を並べたDDTが、来年はさらなる攻勢をかけるのか、期待が高まる。

“帝王”高山の負傷はプロレス界への警鐘となった

 もう一つの衝撃、そしてプロレス界全体にショックを与えた出来事が、“帝王”高山善廣の試合中の負傷だ。高山は昨年8月よりDDTマットに定期的に参戦しており、4.29後楽園では男色ディーノとKO−Dタッグ王座を獲得。5.28後楽園では竹下幸之介のKO−D無差別級王座への挑戦も決定していた。だが、5.4大阪・豊中大会でヤス・ウラノに前方回転エビ固めをかけようとした際に頭部を強打。病院に搬送され、頸髄損傷および変形性頚椎症という診断の元、手術が行われた。その後、9月に記者会見が開かれ、8月中旬に関東の病院に転院したが、頸髄完全損傷と診断が変更され、現状では回復の見込みがないことが発表された。これを受け、DDTが中心となって支援団体「TAKAYAMANIA」を設立。高山にゆかりのある選手や団体も試合会場に募金箱を設置し、支援活動を行っている。


 高山はかつて新日本プロレス、全日本プロレス、プロレスリング・ノアの3団体のヘビー級のシングル&タッグ王座をすべて獲得。シングル3冠達成は佐々木健介が先に成し遂げているが、タッグを含めた記録は、ただ1人のみの偉業である。また、01年6.23「PRIDE.21」でのドン・フライとの壮絶な殴り合いで、格闘技界にも名を広めると、さらに、恵まれた長身や趣味を生かして、タレントとしても幅広く活動。それだけに、世間的にも大きくニュースが取り上げられた。


 くしくも今年は新日本プロレスでも3月に本間朋晃が試合中に負傷、4月に柴田勝頼が試合後に救急搬送と、主力選手の欠場が続いていただけに、大ベテランのまさかのアクシデントは、プロレス界全体に警鐘を鳴らした。リング以外を戦場とする「路上プロレス」を売りにするDDTにとっては、今まで以上に安全性の確保と選手の健康管理が命題となるだろう。

ベルトが王者によって独自の輝きを見せた1年

団体内の各ベルトは、そのチャンピオンたちによって、それぞれのカラーが色濃くなっていった1年でもあった
団体内の各ベルトは、そのチャンピオンたちによって、それぞれのカラーが色濃くなっていった1年でもあった【写真:前島康人】

 今年のタイトル戦線では、長期政権を築き上げた選手が独自のカラーを打ち出し、ベルトの価値や存在意義を高めてみせた。


 KO−D無差別級王座では、3月に当時21歳で戴冠した若き王者・竹下幸之介が、9カ月にわたり、2ケタの大台に乗る10度の防衛を達成。もっともDDTらしいタイトルといえるEXTREME王座では、“カリスマ”佐々木大輔が3月に葛西純から王座を奪取して以来、実に8度も防衛。ハードコアやノーDQマッチなど、王者らしい試合スタイルで、DAMNATIONの人気拡大につなげている。また、KO−Dタッグ王座では、高山&ディーノ組や、HARASHIMA&丸藤正道といった、斬新な組み合わせの越境タッグが誕生。


 一方、ユニット抗争の中心を担うKO−D6人タッグ王座では、酒呑童子からDNA勢、NωA、酒呑童子、ALL OUT、酒呑童子とめまぐるしく王座が移動している。なお、8.20両国国技館大会より、新たにKO−D10人タッグ王座が新設され、LiLiCoらが戴冠したが、人数的およびメンバー的な難しさからか、ほとんど防衛戦が行われていないのが残念なところだ。

高木裕美

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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