“衝撃的”な1年となったDDT 竹下が前人未到のKO−D王座V10
親会社「サイバーエージェント」で路上プロレスも
親会社となったサイバーエージェント社内での試合は「AbemaTV」で生配信された 【(C)DDTプロレスリング】
旗揚げ20周年イヤーとなった2017年のDDTは、大きな「衝撃」に見舞われた1年であった。
DDTは9月1日付で発行済み株式の100%を株式会社サイバーエージェントに譲渡。「AbemaTV」などを擁するサイバーエージェントグループの一員となり、今月21日には東京・渋谷のサイバーエージェント本社内にて行われた「DDT VS サイバーエージェント路上プロレス−男色死亡遊戯−」の模様が「AbemaTV」で生中継された。1978年に公開されたブルース・リーの主演映画の設定になぞらえ、藤田晋社長の唇を狙う男色ディーノが、社内の各フロアに待ち構える刺客を攻略しながら、次の階を目指して進んでいくのだが、武藤敬司や村上和成などの豪華ゲストも登場し、一般視聴者、そして何より、社内で普通に勤務している社員たちに、DDTという団体のインパクトを広く知らしめた。
武藤敬司(右)らも登場し、強烈なインパクトを残すことになった 【(C)DDTプロレスリング】
会員制有料動画配信サービス&AbemaTVでの生中継を行っているプロレス団体は、日本では新日本とDDTのみ。創立45周年の歴史を誇り、プロレス業界のトップを独走する新日本とシステム的には肩を並べたDDTが、来年はさらなる攻勢をかけるのか、期待が高まる。
“帝王”高山の負傷はプロレス界への警鐘となった
高山はかつて新日本プロレス、全日本プロレス、プロレスリング・ノアの3団体のヘビー級のシングル&タッグ王座をすべて獲得。シングル3冠達成は佐々木健介が先に成し遂げているが、タッグを含めた記録は、ただ1人のみの偉業である。また、01年6.23「PRIDE.21」でのドン・フライとの壮絶な殴り合いで、格闘技界にも名を広めると、さらに、恵まれた長身や趣味を生かして、タレントとしても幅広く活動。それだけに、世間的にも大きくニュースが取り上げられた。
くしくも今年は新日本プロレスでも3月に本間朋晃が試合中に負傷、4月に柴田勝頼が試合後に救急搬送と、主力選手の欠場が続いていただけに、大ベテランのまさかのアクシデントは、プロレス界全体に警鐘を鳴らした。リング以外を戦場とする「路上プロレス」を売りにするDDTにとっては、今まで以上に安全性の確保と選手の健康管理が命題となるだろう。
ベルトが王者によって独自の輝きを見せた1年
団体内の各ベルトは、そのチャンピオンたちによって、それぞれのカラーが色濃くなっていった1年でもあった 【写真:前島康人】
KO−D無差別級王座では、3月に当時21歳で戴冠した若き王者・竹下幸之介が、9カ月にわたり、2ケタの大台に乗る10度の防衛を達成。もっともDDTらしいタイトルといえるEXTREME王座では、“カリスマ”佐々木大輔が3月に葛西純から王座を奪取して以来、実に8度も防衛。ハードコアやノーDQマッチなど、王者らしい試合スタイルで、DAMNATIONの人気拡大につなげている。また、KO−Dタッグ王座では、高山&ディーノ組や、HARASHIMA&丸藤正道といった、斬新な組み合わせの越境タッグが誕生。
一方、ユニット抗争の中心を担うKO−D6人タッグ王座では、酒呑童子からDNA勢、NωA、酒呑童子、ALL OUT、酒呑童子とめまぐるしく王座が移動している。なお、8.20両国国技館大会より、新たにKO−D10人タッグ王座が新設され、LiLiCoらが戴冠したが、人数的およびメンバー的な難しさからか、ほとんど防衛戦が行われていないのが残念なところだ。