“衝撃的”な1年となったDDT 竹下が前人未到のKO−D王座V10

高木裕美

竹下が変幻自在のカバナを抑えて防衛 来年のリーグ戦優勝を宣言

王者・竹下がKO−Dを守りきり、前人未到のV10を達成 【写真:前島康人】

 この日のメインイベントで行われたKO−D無差別級選手権試合では、王者・竹下幸之介がコルト・カバナを下し、V10という前人未到の記録を達成。来年、初開催されるDDT最強を決めるシングルリーグ戦「D王 GRAND PRIX 2018」に向け、チャンピオンとして優勝することを宣言した。

 幼少期からDDTを愛し、12年の日本武道館大会では17歳の現役高校生レスラーとしてデビューを飾った現在22歳の王者・竹下に対し、挑戦者のカバナは米国のインディー団体をわたり歩いてきた37歳。日本ではプロレスリング・ノアにコルト“Boom Boom”カバナとして参戦し、その明るいキャラクターで、多数のファンから支持を得た。

 プロレスファンとして、カバナに敬意を抱いていた竹下だが、その変幻自在なファイトスタイルに序盤から大苦戦。カバナのペースに飲まれ、まったく自分らしい戦いができない。カバナは10分過ぎ、コーナーから場外へ飛ぶと見せかけて、普通に床へ飛び降りてから客席へダイブすると、イスを振り上げるかと見せて着席。竹下もリング上でブルーサンダー、ヒザ蹴りを繰り出すも、カバナは頭突きからブンブンショット、ジャンピングバックエルボー、シカゴクラブ(リバース逆エビ固め)、スーパー・マン(変形丸め込み)、シカゴ・スカイラインと、硬軟織り交ぜた多彩な技を披露。竹下は一発逆転すべく丸め込みを狙うも、すべて切り返されると、強引にカバナを持ち上げて、ローリングジャーマンで3カウントを奪取。苦しい戦いを制し、ベルトを守り抜いた。

 試合後、カバナに敬意を表し、握手をかわした竹下は、1.5新宿FACEで開幕する「D王 GRAND PRIX 2018」に向け「チャンピオンが優勝したらどうなるの?」と確認。本来、1.28後楽園で行われる優勝決定戦の勝者が、3.25両国国技館のメインイベントで竹下の持つKO−D王座への挑戦権を獲得することができるが、竹下は「僕が優勝します」とキッパリ。意中の相手は明かさなかったものの、自分が王者として優勝した上で、挑戦者を逆指名すると宣言した。

 これに対し、男色ディーノプロデューサーはプロレス「『D王 GRAND PRIX 2018』は、次の主役に躍り出る選手を決める戦い。誰が勝つのか楽しみにしている。ただ、アンタ(竹下)を止めようとしている人はいっぱいいる」と、すんなり竹下の優勝とはいかないことを予告し、ニュースターの誕生を期待した。

ハラシマルフジが王座防衛 来年はプロレス大賞も標的

「ハラシマルフジ」はDAMNATIONの2人を退け防衛。来年のプロレス大賞も狙う 【写真:前島康人】

 セミファイナルのKO−Dタッグ選手権試合では、HARASHIMA&丸藤正道の「ハラシマルフジ」が、DAMNATIONの佐々木大輔&遠藤哲哉組を破り、5度目の防衛に成功した。

 ハラシマルフジは、HARASHIMAからの熱烈なラブコールによりコンビ結成が実現。8.20両国で入江茂弘&樋口和貞組を破り、初タッグで王座奪取を果たすと、初防衛戦では、高木三四郎&男色ディーノ組を9.20東京・宮地鉄工所での路上プロレスで迎え撃つなど、新境地にも挑んでいった。丸藤は8月の戴冠当時はノアでマイバッハ谷口とGHCタッグ王座も保持しており、タッグ2冠王となったものの、わずか6日後にノアの王座からは転落。さらに今大会の2日前に行われた12.22ノア後楽園大会では、試合中に谷口から裏切られるというショッキングな出来事も発生。しかし、DDTマットでは、無事にベルトもパートナーとの絆も守り抜いた。

 丸藤は遠藤に対し、起き上がりこぼしチョップ、河津落としを仕掛けると、激しいチョップ合戦を展開。HARASHIMAも佐々木に雪崩式ブレーンバスター、ファルコンアローを放つ。しかし、佐々木もHARASHIMAにNOW OR NEVER、遠藤がスワンダイブ式450°スプラッシュを繰り出すと、遠藤が丸藤に掟破りの逆不知火。佐々木のクロスフェースはHARASHIMAが切り返して山折りをお見舞いする。佐々木のパンチが遠藤に誤爆すると、直後にHARASHIMAのトラースキックも丸藤に誤爆。だが、丸藤は虎王でHARASHIMAの危機を救い、遠藤に本家・不知火を決めると、佐々木に合体トラースキックを炸裂。HARASHIMAが顔面蹴りからの蒼魔刀で佐々木を沈め、タッグ王者組としての年越しが決定した。

 試合後のマイクアピールでは、HARASHIMAと共に「今年はプロレス大賞のベストタッグを取れなかったんで、このまま防衛し続けて、来年は取ってやるさ」と誓った丸藤。来年の3.25両国大会への参戦も発表されており、来年は今年以上にバラエティー豊かな敵を迎え撃つことになりそうだ。

大石がまさかの“解放”も、NωA解散撤回を阻止

「NωA」の3人は解散撤回を阻止したが、大石に悲劇が…… 【写真:前島康人】

 1.28後楽園大会を最後に「発展的解散」をすると発表したアイドルユニット「NωA」の大石真翔&勝俣瞬馬&MAOに対し、解散反対を唱える男色ディーノが「負けたら即解散撤回スペシャル」と題し、スーパー・ササダンゴ・マシン&アントーニオ本多を従えて6人タッグマッチで激突。予定通りの解散を目論むNωAに対し、下剤を入れたドリンクを控室に仕込むという卑劣な手段に出た。

 何も知らずに試合前に下剤入りドリンクを飲んでしまった大石は、「爆発寸前10分前」の状態で試合に臨み、短期決着を狙うも、奮闘むなしく時間ばかりが経過し、リング上で腹部に圧力をかけられた際に、ついに“解放”。大石の思考世界に観客も巻き込まれてしまったのか、まるでスローモーションのようにゆっくりと動きが変化する中、技というより悪臭のパワーで試合には勝利。だが、アイドルらしからぬ粗相に、もはや解散前に女子人気は風前の灯となった。

 こんな状況にも関わらず、それでもNωA解散を阻止したいディーノは、次回1.3後楽園大会に第二の刺客としてバラモン・シュウ&バラモン・ケイのバラモン兄弟を招くと発表。かつては3人組アイドルグループ・セーラーボーイズとして“黒歴史”を作ったバラモン兄弟が、新春の聖地に新たな惨劇を呼び込むか。

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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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