弱いとファンが集まる“奇特”なクラブ フェイエノールトを支えるファンの存在
CL初勝利に沸いたフェイエノールト
すでに敗退が決まっているCLで、フェイエノールトはナポリを下し初勝利を挙げた 【Getty Images】
試合後の記者会見で「私はナポリから来た者だが」と英語でジョバンニ・ファン・ブロンクホルスト監督に質問し始めた記者がいた。
「ここまでフェイエノールトは5連敗。今日の試合は(すでに敗退が決まっている)フェイエノールトにとって、何の意味もない試合だった。しかも、立ち上がり早々、フェイエノールトは0−1のビハインドを負った。それでもなお、フェイエノールトのサポーターは熱狂的に応援し続けた。その結果、フェイエノールトは2−1で勝った。とても印象深かった」
ファン・ブロンクホルスト監督は「フェイエノールトサポーターの作る熱狂はものすごい。私はこのスタジアムを愛しているよ」と答えた。
0−10の完敗後、ファンから拍手が送られる
フェイエノールトは、弱いとファンがスタジアムに集まる“奇特な”ビッグクラブだ 【Getty Images】
ナポリ戦の前半、フェイエノールトのサッカーは、CLに求められるレベルから程遠いものだった。それでも、前半終了間際にニコライ・ヨルゲンセンのヘッドで同点に追いつくと、後半のフェイエノールトはチャンスこそなかなか作れなかったものの、ナポリ相手に互角以上の戦いを見せた。
それでも後半38分にトニ・ビリェナが不必要な2枚目のイエローカードをもらい退場した時には、近年「へぼ将棋」ならぬ「へぼサッカー」が著しいオランダサッカーらしい負けを覚悟したが、アディショナルタイムにジェレミア・サン・ジュストが執念のゴールを決めて勝ってしまった。
試合後、『ラララの歌(ユー・ウィル・サバイブ)』をファンが絶叫する中、まるでCLの決勝でゴールを決めたかのように喜ぶ選手たち――。鳥肌が立ち、感動を覚えた瞬間だった。こうして「5連敗後の消化試合」は、「2017−18シーズンのフェイエノールトは、最後の最後でナポリを破って美しくCLの舞台から去ったんだよ」と、いつまでもファンの記憶に残る試合になったのである。
欧州カップ戦の成績が振るわないオランダ勢
ELに出場したフィテッセも1勝しか挙げられず敗退。オランダ勢の成績は振るわない 【写真:ロイター/アフロ】
今季の欧州カップ戦においてオランダ勢はアヤックス、PSV、ユトレヒトがヨーロッパリーグ(EL)グループリーグにすら勝ち上がれず、フェイエノールト(CLに出場)は5連敗後に、フィテッセは(ELに出場)2回の引き分けと3敗の末にやっと1勝を記録した。
オランダリーグはCLおよびELの結果に基づき算出される、UEFAクラブ係数ランキング(12月8日付)では28位に沈んでいる。アゼルバイジャン(21位)よりも、カザフスタン(23位)よりも、ベラルーシ(26位)よりも、マケドニア(27位)よりも、オランダリーグは弱かったのだ。人々がスタジアムから遠ざかっても仕方のない惨状だ。実際、オランダ代表の試合は空席が目立ち始めている。
それでも、「5連敗後の1勝」を「世紀の勝利」のように熱狂し、心から喜び心から泣けるファンがいる限り、オランダのサッカーは死なないと私は信じるのである。