乾貴士、エイバル3年目は必死に戦う毎日 「降格させてしまうと人生で悔いが残る」
在籍3年目を迎えたエイバルで成長を続ける乾が胸中を語った 【写真:ムツ・カワモリ/アフロ】
しかし、11月の代表ウイークを挟んで以降、エイバルは今季初の3連勝。乾も3試合で4ゴールに絡み、上向きな状態にある。クラブでも代表でも攻撃にアクセントをつけられる存在として、今またその価値を再評価される乾。全てが順調にいかない中、それでも着実に、“夢の舞台”と表現するリーガで成長を続ける彼が胸中を語った。(インタビューは現地時間11月29日、第12節ベティス戦終了後)
1試合1試合を必死にやっているだけ
システム変更や慣れないポジションのプレーにも、乾は「必死にやっているだけ」 【写真:ムツ・カワモリ/アフロ】
昨年からもまったく変わることなく、いつも通りの生活です。
――それも普段通りに試合に入っていくためには重要なことですよね。
それはあると思います。みんなで鍋パーティーとか食事をしたりしているので、リラックスは十分できていますね。
――チームメートとのコミュニケーションは問題ない?
もう(一緒にプレーして)長い選手がたくさんいますし、仲のいい選手もいっぱいいるので、全く問題なくやれています。
――今シーズンはエイバルと日本代表の両立が求められています。ここまでのコンディションはいかがでしょうか?
シーズンが始まったころは足首が少し痛くて、それを引きずってプレーしていました。最近は足首の状態もいいですし、身体の調子もだんだん良くなってきたので、いい感じだと思っています。
――乾選手が代表帰りで招集外となった第8節のデポルティーボ戦から、ホセ・ルイス・メンディリバル監督は3バックを取り入れています。監督は選手にどんなプレーを求めていたのでしょうか?
「3バックでも4バックでもやることは一緒だ」と言っていました。プレッシャーのかけ方も前からいくのは変わりません。どの状況でどう動くのか、細かい部分はしっかりと説明してくれました。
――選手も納得したうえでフォーメーション変更を受け入れていましたか?
納得というか、やる以上は自分たちでやらないといけない。他の選手がどう思っていたかは分からないですけれど、自分自身は監督の言うことを信頼している部分が大きいので、監督がこれでいけると思っての判断だと思っていました。負けている状況、何か変えなければいけない状況で、フォーメーションを変えたということですかね。
――それによって乾選手のポジションも、レアル・マドリー戦やレアル・ソシエダ戦ではトップ下でプレーしたりと、定位置だった左サイドとは別のポジションでプレーしています。
自分としてはいろいろなポジションをやりたい思いがあります。今までずっとサイドしかやれていなかったので、真ん中で動き回れるのは、自分にとって楽しかったです。特にインサイドハーフは、もう29歳なので、これからそういうポジションもやっていきたいと思っていて。これからも自分の中でまだまだサッカー人生は続いていくので、スペインでそういうポジションができるというのは、いい勉強になります。ただ、そういった自分のことだけ考えていても意味はなく、チームに貢献しないといけないので、必死にやっていました。
――エイバルのトップ下ではやりやすさを感じましたか?
ボールもたくさん来るし、いいタイミングで(パスが)来たり、早いボールが来たりとか。前向いて(ボールを)受けられたり、けっこう自分の特徴を出せたので、すごく楽しかったです。
――乾選手は試合でボールを失う回数が減って、ボールを持つと何かやってくれそうな期待感を感じます。3年目に入り余裕が出てきた部分、リーガでのプレーに慣れや自信を感じる部分はありますか?
正直、微妙ですね。もう1試合1試合を本当に必死にやっているだけなので、余裕があるのか分からなくて、あまりそういうことは考えていないですね。チームが勝てていない状況が続いていたので。やっと勝てましたけれど、それを続けていかないといけないので、もう必死にやるだけです。
最近の日本代表の悪いところは、簡単なミスをしすぎ
日本代表では「いいつなぎ」ができていないことを課題に挙げた 【写真:アフロ】
みんなレベルが高いですし、サッカーはスペインと少し違うところがあるので、違う意味のいい刺激をもらえています。
――普段スペインでプレーしていることが、代表でプレーする際のメリットになっている点はありますか。リーガでのプレッシャーとの違いは?
特に気にしていないですね。相手が違うし、自分たちのサッカーも一緒ではないので、あまり変わらないです。
――ブラジル戦では、カゼミーロやマルセロといったレアル・マドリーの選手とも対戦しました。リーグ戦との違いを感じましたか?
違いはそんなにないです。やっぱりうまかったですし、レベルが1つ2つ、もっと上だったかなというくらい見せつけられたので。ベンチからですけれど、特に前半を見ていて、やっぱりすごいなというふうにしか思えなかったです。
――レベルの差というのは、具体的にどのあたりに感じましたか?
すべて違いましたね。つなぎの部分もそうですし、1つ1つのプレーの質だったり、プレッシャーの早さだったり。いろいろなところで、違いを感じました。
――ベルギー戦を振り返って、試合自体をどう評価していますか?
ベルギー戦はブラジルと戦った時よりも、前からいって何度か自分たちの思った通りに、ボールを奪えたシーンもありました。なので、あの(ロメル・)ルカクに決められた失点はすごくもったいないなと感じます。あの試合はもしかしたら、勝つことがきたかもしれないので。
ただやっぱり日本の最近の悪いところというか、簡単なミスをしすぎなので、ボールを奪ったあとの1本目のパス、2本目のパス、そういうところでなかなかいいつなぎができない。そのあたりの技術が低いので、そういうことをやっているとまだまだあのような強いチームには勝てないのかなと思います。