堂安律がオランダで自身の成長を実感 精神面での糧は「A代表という目標」

中田徹

日本代表入りが現実的な目標に

フローニンゲンでプレーする堂安律は、日本対ブラジル戦を観戦後に心境の変化を感じていた 【Getty Images】

 ヨーロッパ各地から日本人が集まった11月10日(現地時間、以下同)、フランスのリールで行われた日本対ブラジル戦に、フローニンゲンでプレーする堂安律も観戦に訪れていた。東京五輪での活躍が期待されている堂安は、そこで森保一監督と偶然会ったという。

「あ、こんにちは。はじめまして、堂安です」
「よろしく」
「お願いします」

 こんな感じの一瞬の出来事だった。だが、堂安の志すところは、もっと上にある。それは2018年ロシアワールドカップ(W杯)だ。逆算すれば、来年3月の国際マッチウイークで日本代表に選ばれることが必須になるだろう。リールで会った日本サッカー協会関係者に「可能性はある」と励まされ、堂安はフローニンゲンへ戻ってきた。

「可能性はある」――。その一言に「単純かもしれませんけれど、間違いなく練習への意識とか、サッカーを考える時間が増えましたね」と、堂安の心に栄養が行き渡った。

 国際マッチウイーク明けの初戦となった11月19日のフィテッセ戦で、堂安はチームに攻撃のスイッチを入れ続け、4-2の勝利に貢献した。25日のフェイエノールト戦は0−2で敗れてしまったものの、フローニンゲンのサポーターたちが敢闘をたたえて、フィテッセ戦に続いて堂安を「ホームチームのマン・オブ・ザ・マッチ」に選出した。

「ブラジル戦を見に行って、それからオランダリーグで2試合しましたけれど、すごいポジティブにやれている。だめなプレーがあったとしても、次のプレー、次のプレーとポジティブにできている。すごく楽しめてやれています。やっぱり目標(ロシアW杯)がないとね。どこかサボっちゃうところがあるので」

「トップクラブ相手でもやれる」

 現在、フローニンゲンは11月25日時点で暫定13位。チームの規模、戦力を鑑みると残念な成績だ。だからといって、「別にチームの状況を変えようと思ってピッチに立っているわけではない」と堂安は正直に胸の内を明かす。

「(日本)A代表という目標がある。それが精神的な成長につながっている。自分の目標が達成していければ、チームは必然と(上位に)上がっていける。そういう意味で、『個人としての目標をブラさずにやるぞ』と思っていました」

 フェイエノールト戦では、カリム・エル・アーマディ(モロッコ代表)の厳しいマークを受けた。エル・アーマディは「オランダリーグで一番ポゼッション能力の高いMF」と言われることもある、32歳のベテランだ。さらに、22歳にしてすでに150試合を越すオランダリーグ経験を持つトニー・ビレーナ(オランダ代表)、技術・パワー・戦術眼の三拍子そろったソフィアン・アムラバト(モロッコ代表)のうちどちらかが、堂安がボールを持つとエル・アーマディと協力して防ごうと構えていた。

 狭いスペースの中でもドリブルを仕掛け、ルーズボールの奪い合いでは目いっぱい、足を伸ばし続けた堂安は、2度もピッチに倒れ込んだ。その時、痛めた左ひざは縫うことになるだろう。このようなバトルの末に得たものは「トップクラブ相手でもやれる」という自信だった。

「個人的にはやれていたと思います。僕個人としてはチームが2失点してからも――言い方は悪いですけれど、自分がどれだけできるか試すために気落ちは全然しなかった。アホみたいに自分だけ走っている場面もありましたが、そこは全然、気にもしていない。今日は、何か自分の中で成長しているなと感じられた1試合でした」

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著者プロフィール

1966年生まれ。転勤族だったため、住む先々の土地でサッカーを楽しむことが基本姿勢。86年ワールドカップ(W杯)メキシコ大会を23試合観戦したことでサッカー観を養い、市井(しせい)の立場から“日常の中のサッカー”を語り続けている。W杯やユーロ(欧州選手権)をはじめオランダリーグ、ベルギーリーグ、ドイツ・ブンデスリーガなどを現地取材、リポートしている

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