3人のライターが選手権の注目選手を紹介 イチオシは感動を呼ぶ“ファンタジスタ”

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全国的には無名も3人がイチオシの高橋大悟

3人が声をそろえてイチオシに推す選手は、神村学園のFW高橋(右) 【スポーツナビ】

安藤 神村学園(鹿児島)の屋久島出身FW高橋大悟くんもおもしろい選手ですよ。

川端 屋久島の大自然の中でドリブルをしたり……。

安藤 海に向かってボールを蹴ったり……。

(一同笑)

安藤 でも本当にやっていたみたいです。中学から神村学園に入って、彼らの代の神村学園中は鹿児島の中で最強世代だったんです。でも高校に上がったら、鹿児島城西にずっと負けていて選手権には出られなかった。彼はまだ選手権に出たことがない選手なので、そういう意味でも楽しみですね。

安藤 左足のキックの精度やパスのセンスがすごい。

川端 “ファンタジスタ”ですよね。

安藤 (鹿児島県予選の)準決勝でも、チームを救う同点ゴールを決めたしね。

平野 その試合では足を痛めてもう交代かというところで、同点ゴールを決めた。話す内容も仲間のことが多くなってきましたし、ものすごくエモーショナル(感情的)な選手なんですよね。

 本当に見ていて感動するんです。(出身の)屋久島もそうですし、いろいろな思いを背負って戦える選手になっていると感じます。サッカー選手としても小柄(163センチ)ではありますが、左利きでシュートセンスがあっていい選手。でも、それだけではない。何か感じるものがある選手です。

 役割的にはストライカーとしてやっていたけれど、学年が上がるにあたってチャンスメークの部分だったり、守備を助けるプレーだったりと徐々にプレーの幅が広がってきて、プロ入りまでこぎつけた選手ですね(編注:清水エスパルスに内定)。

川端 初めて話したときから「サッカーで生きていきたい」という気持ちをピュアに持っている子だなと感じさせる選手でした。それが今度は自己表現の面でも、「俺のプレーを見てくれ」というところから「俺のチームを見てくれ」という方向に広がってきた。そういう意味でも、成長をすごく感じますね。

平野 この前の(鹿児島県大会)準決勝で話を聞いてきたんですけれども、「今までの僕はただ点を決めているだけでした」と。「少しずつチームのことをやらなければいけなくなってきて、3年生の夏を過ぎてからは、誰かが決めて勝てばいいと思うようになりました。でも、今はもう一度、俺が決めて勝たせるんだという思いを、チームとして戦うのに加えて上乗せできるようになってきました」と言っていました。言葉どおり、何でも惜しみなくやるんです。だから本当に、見ていて感動するので、個人的には今大会イチオシの選手です。見て損はしないと思います。

安藤 予選の決勝も準決勝で打撲をしていたのに、延長戦の最後まで戦い抜きましたからね(編注:神村学園はPK戦の末、鹿児島城西を下し、本大会の出場権を勝ち取った)。全国的にはまだ無名に近いですが、この3人全員のイチオシと言ってもいいかもしれないね。

白井海斗は「ワンタッチシュートが天才的」

川端氏が「ワンタッチシュートは天才的」と評した清水桜が丘のFW白井 【スポーツナビ】

平野 僕はもう1人の注目選手として、清水桜が丘(静岡)のFW白井海斗くんを推したいと思います。

川端・安藤 あー、そうだね。

平野 彼は清水エスパルスのジュニアユースの出身なんですけれど、非常に力のある選手です。

川端 ワンタッチシュートなど、天才的なところを持っている選手ですね。ゴール前のオイシイところに飛び込んでいって、難しいことはしないんですけれど、それが本当に「うまい!」というタイプです。大瀧(雅良)先生は藤田俊哉(現リーズ・ユナイテッド、コーチ)に例えていましたけれど、ああいうタイプのトップ下ですね。

安藤 ミドルシュートもうまいですよ。「このタイミングで打ってくるか」というシーンで、小さい体からものすごいシュートを打ってくるんです。

平野 スペースを突くのも、シュートを打つのも、ずっと狙い続けているからこそで、「流れでそうなった」というような行き当たりばったり感がない選手です。フラフラしているところのポジションが、すごく良かったりするんですよね。

川端 僕が彼を初めて見たのは中学の全国大会の決勝戦。鹿島アントラーズのジュニアユースとの試合で、途中出場で出てきたときには0−2でリードされていました。正直「このゲームは決まったな」という雰囲気の中でしたけれど、彼が出た途端に全部が変わって分からなくなった(笑)。

平野 相手にはプレーが読みにくい選手ですよね。

川端 他にも挙げたい注目選手はいくらでもいるな……。

 今回の座談会では他にも数多くの選手の名前が3人から挙がった。編集部の裁量で省かせていただいたことを付記したい。

<後編につづく>

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