ラグビー日本代表の新たな試み 「世界でも見ない形」で2年後のW杯へ
新DFコーチ「プレッシャーを与えることが第一の目標」
日本代表のディフェンスコーチに就任したジョン・プラムツリー氏 【斉藤健仁】
そこで指揮官は、かつてウェリントンでいっしょに指導したことのあるジョン・プラムツリーコーチを招聘。プラムツリーコーチはかつてシャークス(南アフリカ)の指揮官を務め、アイルランド代表でも指導し、現在は2016年のスーパーラグビー王者のハリケーンズ(ニュージーランド)のディフェンスコーチを務める国際経験豊かな人物だ。
ハリケーンズのディフェンスを見ると「T−システム」とも言われる、極端なまでに前に出る攻撃的なアグレッシブなディフェンスであり、やはりプラムツリーコーチも「自分の持っているスタイルはアグレッシブです。相手にプレッシャーを与えることが第一の目標で、ハリケーンズに似た形です。スペースをシャットダウンすることで、タックルすることを助けられる。相手に走ってこられてタックルするより、自分から向かってタックルする方がいい。それは物理です」と説明した。
プレッシャーを「かけ過ぎていた」場面も
相手にプレッシャーをかける新ディフェンス。これからどこまで進化できるか 【斉藤健仁】
またこの日本代表はエリアに関係なく相手のゴール前でも積極的に上がり、連続攻撃されてディフェンスより相手のアタックの方の人数が多くても前に出ていたことには驚いた。随所に相手にプレッシャーをかけていた場面はあったが、前半はジョセフHCが「かけ過ぎていた」というように、相手のアンストラクチャー(崩れた局面)からのアタックでも前に出でてしまい、逆にトライを取られていたシーンはもったいなかった。このあたりは今後修正されていくだろう。
またSOベリック・バーンズからLOのRG・スナイマンへのショートパスで2度ブレイクされたり、後半、世界選抜のWTB藤田慶和(試合後に日本代表に追加招集)がインサイドの見えない場所から入って来たようなプレーには弱いが、まだ導入して1週間も経っていないためしょうがないところか。
オーストラリア代表との一戦が試金石に
11月4日には強豪・オーストラリア代表に挑む 【斉藤健仁】
日本代表は戦術やシステム、ストラクチャーと言われている部分は2年後のW杯に向けて新たな試みを試しており、それがいい方向に行きそうだということは感じることはできた。ただ、それと同時に、改めて世界の強豪と対戦するにはフィジカル、フィットネスからは逃げられないということも明白となった。
世界選抜の厳しいレッスンを受けて、ジェイミー・ジャパンは11月4日、横浜で、世界王者ニュージーランドに勝ったばかりで、調子を上げている2015年W杯準優勝の「ワラビーズ」ことオーストラリア代表に挑戦する。世界選抜戦を糧にどこまで成長を遂げることができるか。W杯を見据えたジェイミー・ジャパンの大きな試金石となる試合となろう。