【ラグビー/NTTリーグワン】残り4試合、GR東葛の思いはただ一つ。 「昇格してフミさんを送り出したい」<NECグリーンロケッツ東葛>

NECグリーンロケッツ東葛 田中史朗選手 【©ジャパンラグビーリーグワン】

シーズンは残り4試合。だが、ディビジョン1復帰へ向けて、ここから戦いはさらに熱く、激しさを増す。NECグリーンロケッツ東葛(以下、GR東葛)にとって、順位決定戦の初戦の相手は豊田自動織機シャトルズ愛知(以下、S愛知)だ。

勝利が絶対に必要な順位決定戦において、チームの全員が抱く勝利への欲求をさらにかき立てる出来事が今週にあった。4月24日、田中史朗が今季限りで現役から退くことを発表したのである。

GR東葛のチーム内でも田中の影響力は非常に強い。今季2年目の丸尾祐資は、ポジションも田中と同じスクラムハーフとあって、技術、戦術、メンタルなど、練習を通じてあらゆる面を教わってきた。

「フミさん(田中)からは『9番と10番がゲームを作っていくんだという意識をもっと持て。まだ動かされている感じがあるから、自分がやりやすいように周りに指示を出して、自信を持ってやりなさい』と言われました」(丸尾)

田中から教えられたことを意識しながら練習に取り組んだ丸尾は、昨季の出場機会ゼロという立場から大きく躍進した。今季はジャパンラグビー リーグワンでデビューを飾っただけでなく、初めて先発で起用された第7節・日本製鉄釜石シーウェイブス戦では初トライも決めており、確実に飛躍を遂げた1年になっている。

小幡将己もまた、田中の教えによって力を伸ばした選手の一人だ。

「フミさんはウエイトトレーニングでも、グラウンドの練習でも、絶対に手を抜かない。『日本を代表する選手というのは、どんな練習でも絶対に手を抜かない』と、フミさんの姿を見て学びました」

田中の姿を見て、小幡はより一層練習に熱を込めて打ち込んだ。

小幡の特長の一つに、グラウンド内で誰よりも声を張り上げるコーチングがある。それに関して問うと、「僕はタレント性のある選手ではないので、声を出すことでチームに貢献しようと思っています。フミさんの声は試合でもよくとおる。そういう部分も学ばせてもらいました」と、コーチングにおいても影響を受けていることを話してくれた。

S愛知とのリーグ戦での対戦成績は1勝1敗。実力が拮抗する難敵には違いないが、GR東葛は負けるわけにはいかない。

“フミさんのために、絶対に勝ちたい。D1に昇格して、フミさんを送り出したい”

丸尾と小幡は田中から引退の話を聞かされたとき、そう意を決したという。もちろん彼ら二人だけではない。GR東葛の全選手がその思いを胸に抱き、4月28日、S愛知との決戦に臨む。

(鈴木潤)
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ジャパンラグビー リーグワンは、「あなたの街から、世界最高をつくろう」をビジョンに掲げ、前身であるジャパンラグビー トップリーグを受け継ぐ形で、2022年1月に開幕した日本国内最高峰のラグビー大会です。ラグビーワールドカップ2023を控え、セカンドシーズンとなるリーグワン全23チームの熱戦をご期待ください。

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