復活リアルスティール、次は米国BCも視野 8着ソウルスターリングは距離不足?

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昨年のドバイターフ以来、重賞3勝目

GI天皇賞・秋への前哨戦、GII毎日王冠はミルコ・デムーロ騎乗のリアルスティール(右から2頭目、緑帽)が復活の会心差し! 【写真:中原義史】

 GI天皇賞・秋へ向けた前哨戦、第68回GII毎日王冠が8日、東京競馬場1800メートル芝で行われ、ミルコ・デムーロ騎乗の3番人気リアルスティール(牡5=栗東・矢作厩舎、父ディープインパクト)が優勝。中団外から一気の末脚でまとめて差し切り、天皇賞・秋へ大きく名乗りを挙げた。良馬場の勝ちタイムは1分45秒6。

 リアルスティールは今回の勝利で通算14戦4勝(うち海外1戦1勝)。重賞は2015年GIII共同通信杯、16年GIドバイターフに続く3勝目となった。

昨年のドバイターフ以来、重賞3勝目となった 【写真:中原義史】

 クビ差の2着には今年のGI安田記念馬で川田将雅が騎乗した5番人気サトノアラジン(牡6=栗東・池江厩舎)、さらに1馬身半差の3着には田辺裕信騎乗の4番人気グレーターロンドン(牡5=美浦・大竹厩舎)が入線。一方、1番人気に支持されていたクリストフ・ルメール騎乗の今年のGIオークス馬・ソウルスターリング(牝3=美浦・藤沢和厩舎)は果敢に逃げたものの、直線で失速し8着に敗れた。

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ソウルスターリング果敢逃げも……

人気を集めた3歳オークス馬・ソウルスターリング(右、白帽)だったが、直前伸びず8着に沈んだ 【写真:中原義史】

 ダービー馬が2頭にオークス馬が1頭、安田記念馬もいて、さらには海外GI馬も出走と、下手なGIよりも豪華なメンバーが揃った今年の毎日王冠。東京競馬場には前年比130.9%となる5万7千人もの観衆が詰め掛けたのだが、注目はやはり今年のオークス馬・ソウルスターリングだろう。ここまでの戦績は6戦5勝2着1回。同世代牝馬との戦いに早々と見切りをつけ、古馬が集う天皇賞・秋への挑戦を表明。もちろん、それは無謀な挑戦ではなく、この馬ならば互角以上の勝負になる、それだけの器だという陣営の手応えがあってのものだろうし、ファンもそれを支持した。

 だが、勝負はかくも厳しいもの。「やっぱり古馬は強いね。これも競馬だから仕方ない」と、名トレーナー・藤沢和雄調教師もこの敗戦をしっかりと受け止めていた。

 レースは好スタートから果敢にハナを切る戦法。ただ、これは狙っていたものではないことは、ルメールのレース後のコメントにも裏付けられている。

「ちょっとテンションが高かったですね。リフレッシュした後だったからかもしれないですが、ゲートでもチャカチャカしていましたし、ちょっとテンションが高かったです」

 確かにパドックでも、落ち着いて歩いているようには見えたのだが、やや発汗がきついかなという印象も受けた。ルメールとしては最内枠でもあるし、ここで無理に押さえ込んでも……という判断でのハナだったのだろう。その後は「リラックスしていた」とジョッキーが振り返ったとおり、折り合い良く運ぶことができたが、この日はオークスで繰り出したような強烈な末脚が身を潜めてしまった。どうにか粘りこみを図ったが、2番手を進んでいた同い年の3歳牡馬ダイワキャグニーに交わされてしまうと、あとはなす術なく後退。結局、12頭中8番目でのゴール板通過だった。

距離も敗因?「1800メートルでは短いのかも」

「直線は速い脚が使えませんでした。この距離で、速い時計が出るこの馬場。ソウルスターリングが疲れてしまったというわけではなくて、長く良い脚を使う馬だから、1800メートルでは短いのかもしれないですね」

 テンションの高さともう1つ、ルメールが敗因として言及したのは距離。欧州最強マイラーのフランケル産駒だけに、オークス前には距離不安もささやかれたのだが、改めてこの日のルメールの言葉から、むしろ2000メートル以上あるほうがより真価を発揮できるタイプなのかもしれない。それに、父の名前ばかりが取りざたされるが、ソウルスターリングの母は仏オークス馬。また、フランケルの父は英愛ダービー馬にして2400メートル級チャンピオンホースを何頭も世に送り出している名種牡馬ガリレオだ。そうした血統背景とルメールの言葉を合わせて考えると、距離が1ハロン延びる天皇賞・秋は条件が好転すると言えそうだ。

「今回は負けたけど、これからもっと良くなると思いますよ」

 暗い表情を見せずに、そうキッパリと明言したルメール。藤沢和調教師もソウルスターリングの体調に問題がなければ予定通り天皇賞・秋への出走を改めて語った。度外視できる敗戦とまでは言えないが、かと言ってこれがソウルスターリングの実力とも思いたくない。苦難の秋初戦を乗り越えてこそ、真の女王としての道が開けてくる。

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