ロッテ・福浦の「変わらない」強さ 2000安打よりチームの勝利のために

千葉ロッテマリーンズ

井口の引退で、来季はチーム最年長になる福浦(右)。長い野球人生を支えているのは「準備」だと語る 【写真提供:千葉ロッテマリーンズ】

 千葉ロッテの本拠地・ZOZOマリンスタジアムの場内アナウンスで福浦和也の名がコールされると、ライトスタンドのファンのボルテージは一気に上がる。

「ファンのみなさんの歓声は、ありがたく感じていますよ」

 福浦は表情を和ませる。

「オレたちの〜福浦」

 彼が打席に立つと、誰もが知っている応援歌が球場内に響く。もちろん、それは福浦の耳に届いている。しかし、打席では応援歌や歓声が聞こえなくなるほど集中力を研ぎ澄まし、投手との勝負に入り込んでいる。

プロ生活24年、怠らない試合前の準備

 福浦は今年、プロ生活24年目を迎えた。1993年のドラフト7位で地元・千葉の習志野高からロッテに入団。元々は投手だったが、プロ1年目に打者に転向した。

 初めて1軍に昇格したのが97年7月5日。その日のオリックス戦に「7番・ファースト」のスタメンで初出場すると、4回にフレイザーから初安打を打った。

 そこから今年10月1日の東北楽天戦までに2150試合に出場。通算1962本の安打を打っている。福浦は口元を少し緩め、こう振り返った。

「初安打は覚えていますよ。どんづまりのセンター前ヒット。初打席は覚えてないんですけどね。プロ入りした当時は、誰も僕がここまでやっていることを想像していなかったと思いますよ。自分自身も想像してなかったですし。結果的には打者に転向して良かったんでしょうね」

 長きにわたる活躍を支えているのが、試合前の準備だ。

 例えば本拠地でナイトゲームが開催されるときであれば、チームの練習は14時に始まる。福浦はいつもその1時間前、13時にはZOZOマリンスタジアムに到着する。ウエートルームに入り、入念にストレッチをして体を動かす準備をしてから、グラウンドに出る。30代に入った頃から、毎日毎日、同じことを繰り返しているという。

「スタメンのときも、ベンチスタートのときも、準備のしかたは変わらないですね。毎日毎日の積み重ね。ルーティンが大事だと思います」

 天候や気温によって、コンディションは微妙に異なる。そのなかで、いかに同じように試合に臨めるか。ルーティンを毎日毎日繰り返して、コンディションを保つ。簡単そうだが、難しいことだ。それができるのが一流の選手である。

「自分がもっとやっていれば」

 今季は68試合に出場。打率2割3分1厘で18打点をマークしている。この成績に、福浦は表情を曇らせる。

「まあ、満足は絶対にしていないですよ。自分がもっとやっていれば、チームの順位も変わっていたかもしれないわけで……」

 5月21日には右太もも裏に張りを感じたため、1軍登録を抹消された。2軍での調整を経て、6月15日に1軍に復帰した。

 実は、打つことだけなら1軍でプレーできる状態だった。だが、福浦はそれを望まなかった。

「中途半端なままプレーしても、またケガをしてしまって登録抹消ということになりかねませんからね」

 福浦は苦笑いしながらそう言った。そして表情を引き締めると、こう続けた。

「ただ打つだけではなく、しっかりと自分のスイングができるか、できないか。守備でもしっかり守れるか、守れないか。たくさんのお客さんが応援してくれる。やるからには万全ではないにしても、しっかりした状態でグラウンドに立ってプレーしたい。それがプロ野球選手として当たり前だと思っているので」

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