ロッテ・福浦の「変わらない」強さ 2000安打よりチームの勝利のために

千葉ロッテマリーンズ

ベテランでも変わらぬスタイル

福浦が打席に入ると、球場のボルテージが一気に上がる 【写真提供:千葉ロッテマリーンズ】

 6月20日、プロ野球の現役最年長野手である井口資仁が、今季限りで引退することを表明した。福浦らチームメートは、その日の全体練習前に井口からそれを告げられた。福浦は声のトーンを落として言った。

「『寂しい』の一言でしたね。チームメートで年上は井口さんしかいない。2010年にはいっしょに日本一になったし、プレーしている姿をずっと見てきた。井口さんがやっているから僕も頑張ろうというメンタルの部分もありましたしね……」

 井口が引退し、来季は福浦がチーム最年長選手となる。球界全体を見ても、福浦よりも年上は中日の投手・岩瀬仁紀だけ。同級生も楽天の外野手・松井稼頭央だけになった。

 ただ、ベテランだから、チーム最年長だからといって、福浦は何かを変えようとはしていない。

「ベンチで声を出したり、チームメートに声を掛けたりはしています。でも、ベンチにいるだけではダメ。現役選手としてやっている以上はグラウンドに立って、結果を残して、チームの勝利に貢献する。来年はチーム最年長になるけど、そのスタイルもずっと変わらないですね」

 現在、2000安打まであと38本に迫っている。ファンは来季の達成を期待している。福浦もそのことは十分わかっている。それでも「個人の記録よりも、チームの勝利」と言い続けている。

「それも変わらないですね。自分がヒットを打って、チームが勝つのが一番うれしいことだけど、四球を選んで出塁することも大事。いろんな役割のなかで自分の仕事がある。打席だけではなく、守備でも貢献できるようにしないといけない。そのためにしっかり準備する。それはやっぱり、僕のスタイルなので。今年はこれだけ悔しい思いをしているので、来年は勝てるように頑張らないといけないと思っています」

 もう一つ、変わらないことがある。それは、習志野市出身の福浦が少年野球チーム「あずまクラブ」で野球を始め、習志野市立第二中学、習志野高校、そして千葉ロッテマリーンズと、ずっと千葉で野球をしていることだ。

 地元に恩返ししたいという思いから、福浦は毎年、ボランティアで習志野市の小学6年生を対象にした野球教室を開催している。

「自分に何ができるかというと、野球しかない。子どもたちに少しでも喜んでもらえたらいいかなと思っています」

 福浦はこれからも変わらずにグラウンドに立つ。ベテランとしてというよりも、あくまでプレーヤーとして。ロッテの勝利のために。そして地元・千葉のために。

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