Bリーグ2季目で9年前の再現狙う琉球 大型補強に現れるクラブの断固たる決意

鈴木栄一

7名の即戦力が新たに加入

計7名の即戦力を獲得しチームを一新した琉球 【(C)B.LEAGUE】

 今オフ、2年目のBリーグ開幕を前に男子トップリーグではかつてない程の選手移動が起こった。その中でも一際、目立つ大型補強に成功したのが琉球ゴールデンキングスだ。王者の栃木ブレックスからチャンピオンシップ(CS)MVPの古川孝敏、タフなディフェンスに定評のある須田侑太郎が加入した。さらに日本代表の帰化選手アイラ・ブラウン、昨季は千葉ジェッツでゴール下の番人として大暴れしたヒルトン・アームストロングに元日本代表の石崎巧、アルバルク東京から二ノ宮康平といった堅実なプレーに定評のあるガードも獲得。大卒ルーキーで、高い身体能力を生かした豪快なプレーが光るハッサン・マーティンも加え、計7名の即戦力が加入した。

 この結果、チームリーダーである岸本隆一、期待の若手ガードの津山尚大、チーム創設から琉球一筋の金城茂之、リバウンドが持ち足の渡辺竜之佑、オフェンス能力が持ち味の田代直希と、昨季からの残留組と合わせた今季の陣容は一気にリーグでも上位のタレントレベルとなっている。

危機感を感じたクラブの断固たる決意

 振り返ると昨季の琉球は、シーズン終盤に大きく盛り返すとレギュラーシーズン残り2試合、大阪エヴェッサ相手に2連勝しなければCS出場はないという崖っぷちの状況で連勝し、大逆転で西地区2位に滑り込んでのCS出場を果たした。ただ、クォーターファイナルではシーホース三河相手に連敗してシーズン終了となった。

 8チームしか進出できないCS出場を達成という結果だけ見れば、昨季の琉球はまずまずの及第点という感じに評価できるかもしれない。しかし、チームにとってはレギュラーシーズン29勝31敗と勝率5割以下に終わった成績が示すように、Bリーグの厚い壁を感じた1年だったという思いしかなかった。だからこそ、オフに大幅なチーム改造に踏み切ったのだ。このままでは上にいけないという強い危機感は、チームが獲得したメンバーはもちろんのこと、チームを去ったメンバーからこそうかがいしれる。

 昨季の指揮官だった伊佐勉(現サンロッカーズ渋谷アシスタントコーチ)は、地元・興南高校出身で第16回ウィンターカップのベスト5に選出されるなど沖縄バスケ界の著名人であり、チーム創設年にアシスタントコーチとして加入。そして、2013−14シーズンからヘッドコーチ(HC)に昇格し2度のbjリーグ制覇を達成するなど、球団を創世記から支えてきた功労者。

 また、伊佐とともにSR渋谷に加入した山内盛久も沖縄出身で、練習生からはい上がり6シーズンに渡って活躍。そしてアンソニー・マクヘンリーは、外国籍選手では異例となる9シーズンの長期在籍で中心選手としてbjリーグ4度の優勝全てに貢献した。3名は絶大な人気を誇っており、彼らがチームを去るのはファンに大きな衝撃を与えた。それは、見方を変えれば大きく刷新しなければいけないというクラブの断固たる決意の現れと言えるはずだ。

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著者プロフィール

1977年、山梨県生まれ。アメリカ・オレゴン大学ジャーナリズム学部在学中に「NBA新世紀」(ベースボールマガジン社)でライター活動を開始し、現在に到る。毎年、秋から冬にかけて母校オレゴン・ダックスの成績に一喜一憂している。

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