【ボクシング】井上の米デビュー戦相手が意気込み ニエベス「フィジカルの有利を生かす」

杉浦大介

プロ初黒星を喫して学んだこと

前戦のポタポフ(左)戦では初黒星を喫したが、判定には納得していない 【Getty Images】

――3月に行われた前戦ではきわどい判定ながらニコライ・ポタポフ(ロシア)に判定負けを喫し、NABOバンタム級タイトルを失っています。プロで初めての敗北から学んだことは?

 私の経歴に負けがつきましたが、あの試合を見た人はみんな私が負けてはいないと分かっています。本来であれば、井上とのファイトは無敗選手同士の戦いになるべきだったのです。ただ、ボクシングではこういうことは起こり得ます。自分では勝ったと思っていても、何が起こるか分からないということを学びました。だからこそ、どんな展開でも最後まで全力を尽くさなければならないのです。

――プエルトリコ系米国人として、ボクシング界に伝統があるプエルトリコを代表しているという思いはありますか?

 私は2つの国を代表して戦っていると思っています。アイランド(島国の意味。プエルトリコの愛称)の誇りは常に胸にあります。そして、米国でずっと生きてきたのだから、米国人としてのプライドもありますよ。

――子供の頃のフェイバリット・ファイターは?

 フェリックス・トリニダード(プエルトリコ)が好きでした。それからファン・マヌエル・マルケス(メキシコ)。最近ではミゲール・コット(プエルトリコ)の活躍も楽しみに見ていました。

――マルケスはボクシングの世界では一般的にプエルトリコのライバル関係にあるメキシコの出身ですが、それでもファンだったんですね。

 その通りです(笑)。マルケスはメキシコ人ですが、史上最高のカウンターパンチャーですからね。

良い試合をして多くのファンに楽しんでもらいたい

――普段は銀行で仕事をしていることでも話題になっていますが、仕事内容について簡単に説明していただけますか?

 PNC銀行のパーソナル・バンカーとして勤務しています。アカウント(口座)を開いたり、ローンの利用方法を説明したり、といった業務です。朝は早起きしてロードワークに行き、その後にPNCで働きます。それが終わったら、ジムでトレーニング。ただ、今回の重要な試合を前にして休みをもらい、今はファイトの準備に専念しています。

――銀行での仕事もとても気に入っていると聞いています。井上選手に勝って世界王座になったとしても、仕事は続けるつもりですか?

 自分ができる限り続けるつもりです。ボクシングと同じように、銀行での仕事も大好きなんです。人の助けになることはうれしいし、仕事の環境にも恵まれています。人生はボクシングだけではないですし、引退後の生活もありますからね。ケガも起こりえますし、プランBは常に必要。可能な限り、両立させていきたいと思っています。

――多忙な日々は厳しい反面、規則正しい生活を確立できるという意味ではボクシングのキャリアにも役立っているのかもしれませんね。

 そうかもしれません。もう長く続けてきたので、ハードなスケジュールが特に苦になることはありません。日々のルーティーンが定まっているので、規律を持った生活ができて、横道に外れることはありません。毎日が充実しています。

――ボクサーとしての目標は?

 世界チャンピオンになって、歴史に名前を刻みたい。トップファイターとして認められ、ビッグファイトの舞台を踏みたい。そして願わくば、経済的に報われたいですね。

――日本のファンはこのファイトを楽しみにしていますが、試合前に何か伝えておきたいことはありますか?

 日本の“フェイバリット・サン”である井上と戦えることは私にとっての喜びでもあります。日本には良い印象しかないですし、いつか訪れてみたい国でもあります。タイトル戦という最高の舞台で良い試合をして、多くのファンに楽しんでいただければ、それは私にとっての喜びでもあります。

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著者プロフィール

東京都生まれ。日本で大学卒業と同時に渡米し、ニューヨークでフリーライターに。現在はボクシング、MLB、NBA、NFLなどを題材に執筆活動中。『スラッガー』『ダンクシュート』『アメリカンフットボール・マガジン』『ボクシングマガジン』『日本経済新聞・電子版』など、雑誌やホームページに寄稿している。2014年10月20日に「日本人投手黄金時代 メジャーリーグにおける真の評価」(KKベストセラーズ)を上梓。Twitterは(http://twitter.com/daisukesugiura)

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