インハイで輝いた、全日本の“卵”たち バレー世代別代表に選出される注目株

月刊バレーボール

女子は東京五輪も視野に入る逸材ぞろい

優勝した東九州龍谷高のエース、中川美柚は高さある攻撃に加え、レシーブのうまさも備える 【月刊バレーボール】

 女子で、全日本ジュニアやユースに選ばれている選手たちは、2020年の東京五輪を視野に入れる選手が数多くいる。

 インターハイで4年ぶり7度目の日本一に輝いた東九州龍谷高(大分)のエース、中川美柚は、その1人。身長は183センチで、ジャンプすればバスケットゴールのリングをつかむことができるという。高さを生かした攻撃もさることながら、3年生になってからレシーブのレベルアップにも励み、インターハイでは守備面でも貢献した。

 チームを率いる相原昇監督は、同校出身で全日本女子のサウスポーエース、長岡望悠(久光製薬)の名前を引き合いに出し、「(中川と長岡の)“ダブル・ミユ”が並んでプレーする姿を見たいですね」と期待を寄せる。

 インターハイ直前の7月14日〜23日に行われた世界ジュニア女子選手権大会(U−20/以下、世界ジュニア女子)には、中川とともに3年生の下北沢成徳高(東京)の岩澤実育(みく)と八王子実践高(東京)の東谷玲衣奈が選ばれた。

 岩澤は2年時からチームでリベロのレギュラーを務め、昨年度は高校2冠に大きく貢献。小柄ながら俊敏性を生かし、全国のスパイカーたちのボールを拾い上げる。

 東谷はガーナ人の父を持ち、高い打点からのスパイクを武器に高校入学当初から活躍。2年生時にはエースナンバーを託された。全日本ジュニアの強化合宿では、ウエートトレーニングの重要性を感じ、それ以降は個人でもウエートに取り組んでおり、攻撃力はますますパワーアップしている。

 今年のインターハイでは下北沢成徳高がベスト8、八王子実践がベスト16と、目標とする頂には届かなかったが、それぞれ高校生活最後の一年への思いをより強くさせた。

海外を見れば、同年代の選手がシニアに入っている

洛南高の大塚達宣(左)など、インターハイでは全国の舞台に立てなかった選手たちも、国体そして春高バレーで捲土重来を期す 【月刊バレーボール】

 全日本ユース女子チームに名を連ねる選手たちも、インターハイの舞台に姿を現した。なかでも圧巻だったのが金蘭会高(大阪)で、8月18日から行われる世界ユース女子選手権大会(U−18)には6人を輩出する。セッターの中川つかさ、リベロの水杉玲奈、ミドルブロッカーの曽我啓菜(はるな)、ウイングスパイカーの中澤恵西川有喜の2年生に加え、昨年末のJOC杯で「オリンピック有望選手」に選ばれた宮部愛芽世(あめぜ)が1年生からコートに立つ。

 インターハイでは決勝トーナメント2回戦で早々に敗退するという憂き目を見たが、能力の高さはいわずもがな。挫折を糧に個人、そしてチームとして、さらに強くなるだろう。

 また、悔しくも予選で敗れ、インターハイ本戦への出場はならなかった逸材たちも全国にはいる。洛南高(京都)の大塚達宣(2年)は中宮中(大阪)時代にJOC杯で「JOC・JVAカップ」と「オリンピック有望選手」のダブル受賞を果たし、高校生になってからも得点力に長けたウイングスパイカーとして存在感を放つ。東北高(宮城)の佐藤駿一郎(2年)も身長204センチの大型選手として、全日本ジュニア男子チームに選出されるなど、将来が期待されるミドルブロッカー。2人とも世界ユース男子へのメンバー入りが決まっている。

 全日本ユース男子チームを指揮する本多洋氏(崇徳高/広島)は以前、こう話していた。
「この高校生の代から、1人でも2人でも東京五輪のメンバーに入ってくれればと思います。日本ではアンダーカテゴリーという括りになりますが、海外を見れば、同年代の選手がシニアに入っている例はたくさん見受けられます。3年後には20歳前後、それはけっして若い年齢ではありません」

 この夏、南東北の地で輝きを見せた選手たちがさらなる成長を遂げ、日本バレーボール界を背負って立つことを強く願う。

(坂口功将/月刊バレーボール)

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著者プロフィール

1947年創刊。バレーボールの専門誌として、その黎明期から今日まで、日本のバレーボールを取り上げ、その報道内容は、全日本、Vリーグはもちろん、小・中・高・大学生、ママさんまで、多岐に渡る。

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