8月のプロ野球を日程面から考察 新たな“死のロード”は生まれるのか

ベースボール・タイムズ

かつては“死のロード”と恐れられた8月の阪神の日程だが、ドーム球場の普及などにより、ハンディはなくなっている 【写真は共同】

 長きにわたって甲子園を本拠地とする阪神を苦しめてきた8月の“死のロード”。しかし、ドーム球場の普及、そして京セラドーム大阪の使用に伴い、もはやその言葉は死語となったと言える。では今年の夏、最も過酷な環境下での戦いを強いられるのはどのチームなのか。8月の日程と照らし合わせながら考察したい。

もはや阪神に日程面のハンディなし

 かつては5カード連続でビジター遠征が続き、甲子園に帰ってきた頃には疲労困憊(こんぱい)で“終戦”というパターンの多かった阪神だが、“死のロード”は過去のもの。今季も連戦続きなのは間違いないが、8月の27試合中6試合(4日〜6日:東京ヤクルト戦、15日〜17日:広島戦)を京セラドーム大阪で開催。その間は自宅に戻ってひと息つくことができ、実質、長期ロードではなくなっている。

 さらにビジターでも、東京ドームでの巨人戦(8日〜10日、25日〜27日)、ナゴヤドームでの中日戦(18日〜20日)と、冷房の効いたドーム球場での試合が計9試合あり、京セラドーム大阪での4試合を加えると、8月の27試合中15試合がドーム球場での開催。昔と比べて移動手段も進化・整備され、もはや阪神に日程面でのハンディはない。

DeNAとヤクルトにとっては過酷な夏

阪神と2位争いを繰り広げるDeNAは8月の27試合中21試合が屋外開催。本拠地・横浜スタジアムで好成績を残したい 【写真は共同】

 セ・リーグ他球団の8月の日程を見ると、ドーム球場を本拠地とする巨人と中日が、ともに26試合中17試合がドーム球場開催で、非常に恵まれている。中日は4日〜6日まで東京ドームで戦った後、8日〜13日までの一週間はナゴヤドームに滞在。巨人は4日〜10日までの間の6試合を東京ドームで戦い、18日以降の11試合はドーム球場(東京ドーム9試合、ナゴヤドーム2試合)が舞台。まるで残暑とは無縁の夏となりそうだ。

 一方、セ・リーグで今年の8月、最も屋外球場での試合が多いのが横浜DeNAとヤクルト。DeNAは8月27試合中、ホームで15試合、ビジターで12試合が組まれているが、その中でドーム球場は6試合(18日〜20日:東京ドーム、29日〜31日:ナゴヤドーム)のみ。残り21試合は屋外球場となる。同じくヤクルトもドーム球場は27試合中6試合のみ(4日〜6日:京セラドーム大阪、11日〜13日:ナゴヤドーム)。1日には静岡遠征も控え、日程的には最も過酷だ。

 そして首位・広島も、楽ではない。8月の27試合中、ドーム球場は9試合(8日〜10日:ナゴヤドーム、15日〜17日:京セラドーム大阪、29日〜31日:東京ドーム)で、残りの18試合は屋外での試合。広島の夏は特別に暑く、移動距離の面でもハードになる。だが、昨季も8月はドーム球場開催が25試合中8試合のみだった中で17勝8敗の快進撃を見せ、9月10日のリーグ優勝決定へとつなげた。その経験を今季にも生かすことが出来れば、連覇は秒読みの段階に入る。

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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