瀬戸大也、銅2つもライバルに感じた脅威 「規格外の考え方を取り入れないと」

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「調子が良かっただけに悔しい」

400メートル個人メドレーで3連覇を目指した瀬戸大也。銅メダルを獲得したものの、課題を残すレースとなった 【Getty Images】

 驚異的なラストスパートで400メートル個人メドレー(4個メ)の金メダルを獲得した2013年バルセロナ大会のようなレースが見たかった。最後の50メートルで瀬戸大也(ANA)は3位へと順位を上げる健闘を見せたものの、本人が目指した「爆発力」を発揮したとは言い難い内容に終わった。

 水泳の世界選手権(以下、世界水泳)は現地時間30日に最終日を迎え、瀬戸は4個メの決勝で4分9秒14をマークし銅メダルを獲得。過去2大会に続き同種目3大会連続の表彰台となったが、目標としていた3連覇を逃した。同レースを泳いだライバル・萩野公介(ブリヂストン)は6位だった。

 厚い胸板に水滴を垂らしながら、レースを終えたばかりの瀬戸が取材エリアを通過した。持ち味である「爆発力」を発揮するために増やした筋肉は最高潮に膨れ上がっており、激戦の激しさを物語っている。

「筋肉が大きくなるとバテると言われますが、デメリットだけでなくてポジティブに考えています。良い泳ぎをすれば筋肉のダメージもないので、最後に(ペースを)上げる時に筋肉がある方が爆発すると思う」。以前そう述べていたが、この日のラストスパートは瀬戸が思い描いていたものとは遠い結果だった。レース後にこう語る。

「今大会、調子が良かっただけにうまく泳げなかったのが悔しい。爆発もできていない。この体、この筋量でどうやって爆発力を出していくか。今後その方程式を出せたらなと思います」

決勝で際立った試合巧者ぶり

 レース展開もイメージとは異なっていた。 瀬戸が決勝レース前に話していたのは、最初の200メートルで2分を切って上位陣に食いついたまま後半を迎え、得意の平泳ぎから勝負を仕掛けること。しかし実際は、200メートルの折り返しを2分0秒55で5位と、1位に1秒近く離されて通過。レースプランが崩れていることは明白だった。

 ただ、瀬戸が焦ることはなかった。試合でしか得られないものがあると考えて、ここ数年の世界大会前には必ず行っていた事前の高地合宿を行わず、多くの試合に出場しながら調整して臨んだ今大会。「途中でプランチェンジして、メダルを取りにいくようなレースに平泳ぎから変えちゃいました」と瀬戸。一番の得意種目である4個メの決勝レースで、連戦の成果が出た。

「今シーズンずっと試合に出てきたからだと思います。200メートルからはブレ(=平泳ぎ)をちょっと抑えて、フリー(=自由形)の前半もちょっと(前を泳ぐイギリスのマックス・リッチフィールドを)前にいかせて。ラストの25メートルあたりから仕掛けてぐっと抜けたら相手も精神的に落ちていくと思ってそうしたら、やはりそのような展開になった」

 場数を踏んでいるからこその試合巧者ぶりで、銅メダルを引き寄せた。

世界に追い付くためには変化も必要

優勝したカリシュ(右)ら強力なライバルの存在に、瀬戸は危機感を募らせる 【Getty Images】

 瀬戸にとっては3連覇を達成できず悔しさを味わうとともに、「(優勝した米国の)チェイス(・カリシュ)以外にも米国の(ケーレブ・)ドレッセルがすごく気になる。(今大会は)世界がかなり動いてきている感じがして、規格外のスピードになってきている」と危機感を抱かせる大会だったようだ。

 世界に追い付くためには変化の必要性も感じ始めている。

「規格外の考え方をしていろいろなものを取り入れて、アホじゃないのというトレーニングをしていかないと金メダルは取れない。米国へ武者修行に行ってみたいなという気持ちにもなってきました」

 今大会で得たのは、4個メと200メートルバタフライの2つの銅メダル。でも「正直銅メダル2つよりも金1つの方がほしかった」と本音も漏らす。しかしこの悔しさを必ず糧にしてくれるはずだ。瀬戸はこんな言葉を残して大会を後にした。

「チェイスは表彰式の時に、この後は『バカンスだ』と言っていた。その間にユニバーシアード(8月18日開幕、台湾)で追いつきますよ」

(取材・文:澤田和輝/スポーツナビ)
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