東京五輪への第一歩となる世界水泳 3年後を見据えた各国の強化プランとは?

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100、200メートルが課題のブラジル

ブラジルのリカルド・プラド氏は、100メートル・200メートルの強化という明確な課題を掲げる 【スポーツナビ】

 最後は昨年ホスト国として五輪を開催したばかりのブラジル代表。チームマネージャーであるリカルド・プラド氏は、リオ五輪で「アクアティクスマネージャー」として水泳種目全般の運営を手掛けたブラジル水泳界を広く知る男だ。

 ブラジルは今大会、ここまで金メダル1つと銀メダル4つを獲得しており、「今回の結果にはそれなりに満足している」とのこと。それもそのはず、昨年のリオ五輪ではメダルゼロと低調な結果に終わっていたのだから、ポジティブな結果だ。しかし、リカルド氏は不安要素も口にする。

「ブラジルは50メートル種目に強い。それはいいのだが、50メートルで持っている力を100メートルや200メートルで発揮できていない。五輪では50メートル種目はないので(編注:自由形のみ50メートルも五輪種目)、100メートル、200メートルにどれだけつなげられるかが東京に向けた課題だ。チームとしては1年1年積み重ねていけるようにやっているところだ。選手たちの東京に向けた思いは強い」

 最後に直近のホスト国として、自国開催の五輪の楽しみを教えてもらった。

「声援が間違いなく自国の選手たちの力になる。日本のスイマーたちは素晴らしい選手ばかりなので、日本のファンが誇りに思うような活躍を選手たちは見せてくれるはずだ。日本人は大人しい気質だと思うけれど、ひとたびスタートのピストルが鳴れば盛り上がることは間違いないだろう」

東京へのし烈なレースはすでに始まっている

 日本代表の多くの選手も今大会を「東京五輪を見据えた大会」と位置付けている。100メートル背泳ぎで4位と惜しくもメダルに届かなかった入江陵介(イトマン東進)は、レース直後に「東京を見据えてやるという気持ちで来ているので、1年1年結果を残すというよりは着実にステップアップしていきたい」と語っている。

 200メートル平泳ぎで銀メダルを獲得した小関也朱篤(ミキハウス)も「何色でもいいのでもう1回メダルがほしいですね。常に世界で3番以内に入って、大きな舞台で良いパフォーマンスができるようになりたい。東京五輪(のプレッシャー)はこれの比じゃないと思うので」と、五輪・世界水泳を通じて念願の初メダル獲得直後ながら、東京五輪へ向けた成長を誓っていた。

 それぞれの思いが交差する世界水泳。3年後を見据えてオーストラリア、ドイツ、ブラジルは動き出していた。東京五輪へのし烈なレースはすでに始まっている。

(取材・文:澤田和輝/スポーツナビ)

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