広島の快進撃を支える右腕・今村猛 「ブルペン陣の一体感は本当に強い」

週刊ベースボールONLINE

フォークの精度が高った理由

5月23日のヤクルト戦では1点差を守り切り、安堵の表情を浮かべた今村(右端)。中継ぎで3イニングを投げた薮田(右から2人目)の白星を守った。 【写真=BBM】

──長田勝ブルペン捕手に話を聞くと、「昨季よりもフォークボールをコースに投げ分けられるようになったことが活躍につながっているのでは」と教えてくれました。

 昨季からやっと投げられるようになりました。今季、春先はうまく投げられなかったのですが、最近はようやく昨季のような感覚で投げられているのかな、と思います。

──フォークボールのための練習をしたのでしょうか?

 そういうわけではないんですけど、春先は寒かったり乾燥していたので、それが一番の原因だと思います。

──今は開幕当初よりも自分の投球ができるようになってきた?

 これまでも暖かくなるにつれて数字が良くなる傾向はあったので、今は落ち着いて投げられています。

──これも長田さんの言葉ですが、「とても精神的に強くなった。ブルペンでは気持ちを抑えているけど、マウンドではスイッチが入る」と話していました。

 僕が入団したころに比べればブルペン陣には若い投手が多いので、緊張感を持ちながらもいろいろ会話をしながら準備をしています。スイッチを入れるのはバッターが打席に入り、プレーボールがかかるときです。集中力が長く持つほうではないので、そうなりましたね。プロ入り当初はブルペンで名前を呼ばれた瞬間に緊張感が高まったり、投げなくても疲れていたりしていましたけど、今はそれがなくなりました。そうじゃないと1年間戦えないですからね。

ムードメーカーはジャクソン

──まだ26歳ですが、ブルペン経験は豊富です。今季は中継ぎキャプテンに就任しましたが、リーダーとして心がけていることは。

 それはまったくないですね。みんな年齢が近いのでロッカーやブルペンでじゃれ合ったりできますし、冗談も言い合える。リリーフのピッチャーだけでご飯に行くこともあり、すごくいい雰囲気でやれています。

──そういう場合にはどの投手が音頭を取ることが多いのでしょうか?

 ジャクソンです。いつも明るくてムードメーカー的な存在です。

──今季はジャクソン投手が「ブルペン陣みんなでヒゲを生やそう」と言い出したこともあったそうですね。

 ありましたね。今季は昨季以上にブルペン陣で過ごす時間が多くなったと思いますし、一体感は本当に強いと思いますよ。

──その中で、もちろんライバル関係もあります。昨季に抑えを務め、現在は8回を任されている中崎投手は今村投手にとってどのような存在でしょうか?

 年下ですけどすごく頼りになります。どっしりしていて安心感がありますし、『中崎が打たれたら仕方がない』というくらいになっています。言ってしまえば、中崎が1軍に復帰したときに『僕は抑えじゃなくてもいいかな』と思いましたし、投手だけでなく野手にとっても大きな存在だと思います。

──クローザーを守りたいという思いは?

 あまりなかったですね。「抑えをやりたい」と言ったのも正直、そう言わされたというか。でも、やるからには上を目指さないといけないと思っていますし、そういう競争があってこそレベルアップできると考えています。その環境は大事ですね。

──リーグ連覇、そして日本一を目指す後半戦が始まります。今後の意気込みを教えてください。

 これからさらに暑くなってくるので、球数を抑えていけたらベストだと思いますし、そのためにはコントロールを良くしていかないといけません。もっと自分が思ったところに投げていかないと。でも、やることはこれからも変わりません。取り組んでいることが結果に現われてくれれば良いですね。

(取材・構成=吉見淳司 写真=前島進、BBM)

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