千葉ロッテはファンと一緒に戦い続ける 借金30、最下位からの再スタート
「プロとして、ファンの声援に応えるだけの意地を見せなければならない」。リーグ最下位に低迷するロッテだが、後半戦もファンとともに戦い続ける 【写真提供:千葉ロッテマリーンズ】
7月16日、千葉ロッテは本拠地・ZOZOマリンスタジアムで全体練習をおこなった。前日にオールスター第2戦が開催され、試合後にはパ・リーグの選手全員と観客がロッテの勝利の儀式「We Are」で一つになった。その興奮から一夜明け、球場には静かな、張りつめた空気が漂っていた。
10時50分。練習を始める前に、伊東勤監督をはじめ選手やスタッフたちがセンター付近で輪になり、短いミーティングを開いた。そこで伊東監督は言った。
「これだけ負けが込んでいても、ファンの人たちは一生懸命応援してくれている。プロとして、その声援に応えるだけの意地を見せなければならない。残りのシーズン、先を見ず、とにかく目の前の一試合一試合に集中して戦おう」
連敗中に聞こえたファンの言葉
しかし、伊東監督は「選手たちは『今日こそは』という思いで、ファイティングスピリットを忘れずに戦っている」と強く言う。
そして、その姿はファンに伝わっている。連敗中のある試合でのこと。ZOZOマリンのライトスタンドから一塁側ベンチの伊東監督の耳に届いたのは、こんな言葉だった。
「今はこういう状態だけど、必ず巻き返してくれる。今日もしっかり応援しよう」
指揮官は「ファンのみなさんもわれわれと一緒に戦ってくれている」とあらためて感じたという。
「それを受けとめて、後半戦は今まで以上に強い思いで戦っていきたい。ファンのみなさんに恩返しするには、グラウンドで結果を出すしかない」
焦りと得点難が招いた前半戦の低迷
「開幕から4連敗してスタートに失敗した。そこから貯金ができず、『なんとかしなければいけない』という焦りからチームが落ち着けないまま、ズルズルといってしまった。すべてが悪循環だった」
開幕前、打線では新外国人選手のパラデスとダフィーに対する期待が高かった。しかし、前半戦終了時でパラデスは打率2割5分1厘、7本塁打、18打点。ダフィーも同2割1厘、6本塁打、18打点と軸になりきれなかった。「外国人の2人の結果が出ず、みんなが不安になってしまった」と指揮官は分析。4月末時点ではチーム打率が1割台(1割8分6厘)に低迷するなど、精彩を欠いた。
点が取れなかったため、先発投手陣は「点を取られてはいけない」という重圧のなかでの投球を余儀なくされた。それが災いし、涌井秀章は3勝6敗、防御率4.15。石川歩は1勝8敗、同4.45と、二本柱に勝ち星がつかなかった。
「涌井は人一倍責任感が強い投手。それが空回りした。石川は開幕前にWBCで精神的にも肉体的にもハードな時期を過ごした。そこからうまく切り替えられないままシーズンに入って、流れに乗れなかった」
先発陣の防御率はリーグワーストの4.62。QS(先発投手が6回以上投げて3自責点以内に抑えること)の達成率は42%と、リーグで2番目に低かった。昨年は勝利を支えていたリリーフ陣はそのシワ寄せを受ける形となり、防御率4.95と力を発揮できなかった。
「終盤までリードしていた試合でも、バッテリーに『ここで点を取られてはいけない』という気持ちが働きすぎた。安全にいこうとして攻めきれず、結果的に打たれて傷口を広げてしまった」