逃げ一族ヤマカツの一発 「競馬巴投げ!第148回」1万円馬券勝負
北海道出張で宿舎に閉じこもる厩舎スタッフは病気なのか、どうなのか
[写真3]レッドソロモン 【写真:乗峯栄一】
「うちの厩舎じゃよお、毎年4人が北海道出張行くんだけどな、3人を抽選で選ぶことになる。え? なぜかって? 一人はオレに決まってるからだろうが」などとも言っていた。
この北海道大好きオジサン、行ってしばらくすると、必ずうちに電話してくる。
「おう、オヤジか。いま何食っとる? 豆腐? 食いてえなあ、本州の豆腐。こっちはよ、毎日、ウニ、カニ、イクラ、ボタンエビ、もう飽きたよ、ススキノ飽きた、ウハハハハ。ああ、豆腐食いてえ」
そのあと「キャー、フフフフ」という女の嬌声が聞こえてきて、「ねえちゃんたちはオレのこと離さねって言うしよう、もう参ってるよ」などと言うのを聞いて、ガチャンと電話切る。毎年の恒例行事だ。
一度「北海道出張行っても、調教と馬体の手入れだけやって、あとは宿舎でじっとしているという、そういう厩舎スタッフはいないの?」と聞いたことがあるが「いるよ、そういうやつも、たまにはな。でも、そういうやつは大概、病気だな」などと答えていた。
しかし最近そうでもないと思うようになる。「あの、“ウニ・カニ・ねえちゃん・オジサン”の方が特殊だったんじゃないか」と思うことがよくある。
5月のダービーの頃に栗東トレセンに行って、知り合いの厩舎スタッフに会うと「今年の夏は北海道?」などと聞くのだが、「今年は行かなくてすみそう」と笑顔を見せたり、「札幌は行かないといけないかも」と顔を曇らせたりする。最近はこの方が圧倒的に数が多いのだ。
北海道出張で宿舎に閉じこもる厩舎スタッフは病気なのか、どうなのか、ああ調べに行きたい。調べに行ったあと、函館記念か何か当てて、ウニ、カニ、イクラの舞い踊りに浸りたい。