大坂なおみ、肌で感じた女王との差 初めてのウィンブルドンで得た経験
初めての“聖地”で1、2回戦を突破
5度の優勝を誇るビーナスに敗れ、うつむく大坂なおみ。それでも、初めてのウィンブルドン本戦で、確かな収穫を手にした 【写真は共同】
「コートは小さいところも、奇麗に整えられているし、芝だし……」
昨年はランキング的には出られる位置につけながらも、ケガで欠場を余儀なくされた。満を持して今年初めて足を踏み入れた“聖地”は、過剰な思い入れがある訳ではなく、それでもやはり特別な空気を感じさせてくれ、なおかつ「私のサーブが生きるはず」という良い予感も与えてくれる地であった。
そのウィンブルドンでの大坂は、初戦でサラ・ソリベス・トルモ(スペイン)との強打の打ち合いを制す。2回戦では一転、スライスやボレーなどの多彩なショットを操る試合巧者のバルボラ・ストリコバ(チェコ)を、フルセットの末に振り切った。そして3回戦では、ウィンブルドンで5度のタイトルを誇る37歳の大ベテラン、ビーナス・ウィリアムズ(米国)との対戦を迎えたのである。
「テニスを始めたきっかけ」 憧れ姉妹との対戦
女王の力に苦しみながらも、力強いプレーを見せた大坂 【写真:アフロ】
対戦に心踊らす大坂は、ウィリアムズ姉妹と同様に、自分たちも姉妹でニューヨークやフロリダのパブリックコートで練習していた日々を回想する。
「私達の練習を見ていた人達が、『ヘイ、君らは未来のウィリアムズ・シスターズだ』と声を掛けてきたわ」
未来のスターと近所の人達に目された少女は、長い選手生命を誇る女王が未だ支配力を誇る舞台に、急成長で駆け込んできた。
「彼女は、私と同じようなプレースタイル。パワフルなショットを持つ危険な選手」
ビーナスは、19歳の挑戦者を評する。
そのビーナスの言葉を伝え聞いた大坂は「ビーナスの口から、私についての言葉が出てくるなんて不思議な気分」と、はにかんだ笑みを頬に浮かべる。
「できれば、センターコートでやりたないな」
世界中のテニス選手が憧れる舞台に立つことを、大坂はただ純粋に望んでいた。