21年ぶりの両リーグ野手新人王なるか!? 開幕3カ月ルーキー通信簿

ベースボール・タイムズ

打率を2割8分台まで上げ、史上9人目となる新人打率3割も視野に入る京田 【写真は共同】

 交流戦も終了し、シーズン開幕から約3カ月が経過しようとしている。セ・パともに連日に渡って熱戦が展開されてきたが、その中でプロ1年目の新人選手たちの果たした役割も大きい。期待に応えているのは誰か!?2017年、ルーキーたちの“3カ月”を評価したい。(成績は6月21日終了時点)

チーム勝ち頭の外れの外れドラ1左腕

 まずセ・リーグの新人投手陣。育成選手を除いて30人が入団し、そのうち14人が1軍デビューを果たした。

 衝撃的な初登板だったのは、「外れの外れ1位」でプロ入りした加藤拓也(慶大→広島)。4月7日の東京ヤクルト戦(マツダ)で初先発のマウンドに上ると、計7四球の荒れ球ながら威力抜群のストレートで9回1死まで無安打投球。惜しくもノーヒットノーランは逃したが、セ・リーグ新人一番乗りでのプロ初勝利を挙げた。2戦目以降は制球難の方が目立って4戦3敗で2軍再調整となったが、6月16日に再昇格し、同18日に中継ぎで1イニングをピシャリ。再出発を誓っている。

 加藤以上に着実に結果を残しているのが、同じく「外れの外れ1位」のドラ1左腕、浜口遥大(神奈川大→横浜DeNA)である。プロ2戦目の4月9日の中日戦(ナゴヤドーム)で6回1/3を1失点(自責点は0)に抑えてプロ初勝利を飾ると、5月に入って3連敗を喫したが、交流戦では持ち味である直球&チェンジアップのコンビネーションがさえて3戦3勝。ここまで先発ローテとして11試合に登板し、チームトップの5勝(3敗、防御3.38)を挙げている。

 その他、星知弥(明大→東京ヤクルト)が14試合2勝2敗、防御率3.88、床田弘樹(中部学院大→広島)が3試合1勝1敗、防御率5.19、そして柳裕也(明大→中日)も3度目の先発でプロ初勝利を飾って6試合で1勝2敗、防御率4.10。リーグ再開後の巻き返しが期待される。

正遊撃手として“史上9人目”を目指す

 続いてセ・リーグ野手陣。ドラフトで入団した12人中、1軍出場を果たしたのは4人。

 特筆すべきは、開幕から正遊撃手として出場を続ける京田陽太(日大→中日)だ。交流戦終了までの67試合中58試合でスタメン出場。プロ入り前から評価の高かった守備&俊足で信頼を勝ち取ると、課題の打撃面でも4月終了時点の打率1割9分8厘から5月(打率3割2分3厘)、6月(3割2分8厘)とプロの投手に順応し、通算でも打率2割8分2厘。リーグ3位の10盗塁をマークしているだけでなく、この調子を維持すれば過去8人しか達成していない「新人打率3割」も不可能ではない。

 社会人出身の糸原健斗(JX―ENEOS→阪神)もプロの舞台で成長を続けている。ドラフト5位入団ながら力強いスイングを武器に開幕1軍を勝ち取ると、当初の代打出場から、5月以降は遊撃手、もしくは二塁手としてチャンスをつかみ、ここまで51試合に出場(スタメン31試合)。6月に入ってからは1番打者にも抜擢された。進化を続けながら2割2分6厘から打率を上げて不動の存在になれるか。

 その他、ドラフト1位でプロ入りした吉川尚輝(中京学院大→巨人)はキャンプの出遅れが響き、5月に2試合に出場(スタメン1試合)したが5打数無安打のまま2軍再降格。同じくドラフト1位の大山悠輔(白鷗大→阪神)もここまで1軍未出場。ただ両選手とも2軍戦で経験を積んでおり、必ずチャンスは与えられるはず。また、高卒ルーキーの坂倉将吾(日大三高→広島)の高い打撃センスにも注目。DHと捕手の両方で出場しながら、ここまでウエスタンでリーグ3位の打率3割1分3厘をマーク。今季中の1軍デビューもあるかもしれない。

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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