少頭数の宝塚記念に見て取れる不安の萌芽 改めて春古馬GI3戦を考える

登録時点で11頭の宝塚

6月25日の宝塚記念、キタサンブラックと武豊が春の古馬GI3戦完全制覇に挑む 【スポーツナビ】

 今春、大阪杯がGIに昇格。これによって関西エリアに春の古馬GIが3レース置かれることになりました。すっかり定着している関東エリアの3レース、すなわち天皇賞(秋)→ジャパンカップ→有馬記念と続く“秋の古馬GI3冠”と対をなすシリーズと言っていいでしょう。

 その記念すべき“第1回目”の大阪杯を制したのが昨年の年度代表馬キタサンブラックでした。1億2000万円に増額された1着賞金を手にし、続く春2冠目となる天皇賞(春)もレースレコードで圧勝。春古馬GIシリーズ3勝馬に与えられるボーナス(内国産馬2億円)にリーチをかけて挑むのが、この25日に阪神競馬場で行われる宝塚記念です。

 この馬の走りに、新シリーズの成否がかかっている、と言ってもいいほど注目されて然るべきところなのに、2週前の最終登録時点でエントリーしたのは11頭。最終的にもこの頭数になりそうですが、GI勝ち馬はキタサン以外で3頭しかおらず、これはいかにも寂しい印象が否めません。

大阪杯GI昇格の意義

 かねてから噂されていた“大阪杯GI昇格”が正式に発表されたのは昨年秋。前述の通り1着賞金が1億2000万円に増額され、今年4月2日に“春の古馬3冠”の緒戦として新たな歴史を刻むことになりました。

“新設”ではない“昇格”とあって、売上の前年比が計上されたわけですが、売上約153億円は222.1%というのですから、大成功、のスタートになりました。

 この大阪杯GI昇格は、春の古馬戦線に2000mのGIがなかったこと、が要因としてありました。そもそもJRA全体で見ても2000mのGIは少なく、関西圏では3歳牝馬限定の秋華賞のみ。世界的に主流になっている2000m戦の扱いが小さい印象があり、中距離路線を歩む一流馬にとっては、春は選択肢が限られてしまっていました。

 それに伴って生じる事態――すなわち同時期に開催される海外GI競走への流出――を防ぐ意味も加わって、早急のGI新設案に拍車がかかるという背景もありました。

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著者プロフィール

中央競馬専門紙・競馬ブック編集部で内勤業務につくかたわら遊軍的に取材現場にも足を運ぶ。週刊競馬ブックを中心に、競馬ブックweb『週刊トレセン通信』、オフィシャルブログ『いろんな話もしよう』にてコラムを執筆中。

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