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“因縁決着”で真価を示したウォード
PFPトップ証明のため値千金の快勝

8回TKOでリマッチにケリ

コバレフとのリマッチを8回TKOという形で決着をつけたウォード
コバレフとのリマッチを8回TKOという形で決着をつけたウォード【Getty Images】

 まずは“因縁に決着”と言って良いのだろう。ストップ間際のローブローに突っ込みどころは残るが、それを差し引いても、両雄のファイターとしての優劣ははっきりしたはずだ。


 現地時間6月17日、米国ラスベガスのマンダレイベイ・イベンツセンターで行われたプロボクシングのWBA、IBF、WBO世界ライトヘビー級タイトルマッチで、王者アンドレ・ウォード(米国)が前王者のセルゲイ・コバレフ(ロシア)に8ラウンド2分29秒でストップ勝ち。昨年11月から続いたエリートファイター同士の2連戦に、ここでTKOという形でケリをつけてみせた。


「今回は違うと分かっていた。1度目は彼も良いファイトをしたけど、見直し、今日はやり遂げて見せた」


 試合後にウォードはそう語った通り、両者の第1戦でより思い通りのファイトをしたのはコバレフの方だった。2ラウンドにコバレフがダウンを奪い、前半戦を完全に支配。後半に巻き返したウォードが微妙な判定を握ったが、コバレフが勝っていたと見たファン、関係者は多かった。

勝負の鍵となった「ボディブロー」

勝負の鍵となったのはウォードのボディブローだった
勝負の鍵となったのはウォードのボディブローだった【Getty Images】

 現時点で米国の専門誌「リングマガジン」のパウンド・フォー・パウンド(PFP)・ランキングで1位(ウォード)、2位(コバレフ)の強豪ファイターが、約7カ月をおいて臨んだリマッチ。事前の予想は今回も真っ二つに分かれたが、初戦からのアジャストメントを巧みに行ったのはやはりスキルに勝るウォードの方だった。


「ベルトラインに放ったボディブローに反応していた。(ボディを)カバーしようとしているのを見て、効いているのが分かった」


 聡明なウォードはそう分析したが、10592人の観衆の前で行われたリマッチの鍵となったのは「ボディブロー」だった。パワフルなコバレフに対して、第3ラウンドあたりからより懐に入るシーンが増え、地道に腹を叩いて相手を削っていく。もともとスタミナに懸念があったコバレフは早くも5ラウンドあたりから疲れを感じさせた。


 コバレフの動きが鈍った8回、決定的なパンチが放たれた。ウォードの右ストレートがロシア人チャレンジャーの顔面をクリーンヒット。コバレフはこの一撃で完全に足にきてしまい、こうなるとフィニッシュは時間の問題だった。


「まだ戦い続けられた。彼が試合を終わらせるだけのパンチを放っているとは感じなかった」

 試合後、コバレフはストップが早かったこと、そしてロープ際で腰を落とすに至ったボディショットがローブローだったことを盛んに訴えた。


 実際にレフェリーがストップをかける寸前、最後の2発は明らかにベルトラインよりも低く、後味悪さが残ったのも事実。後にトニー・ウィークス・レフェリーはウォードのパンチに反則打が含まれていたことを認めていた。また、8回に至るまでもウォードの連打にはローブローが随所に挟まれており、コバレフが徐々に戦力を削がれた理由をそこに見いだす人もいるかもしれない。

杉浦大介
杉浦大介
東京都生まれ。日本で大学卒業と同時に渡米し、ニューヨークでフリーライターに。現在はボクシング、MLB、NBA、NFLなどを題材に執筆活動中。『スラッガー』『ダンクシュート』『アメリカンフットボール・マガジン』『ボクシングマガジン』『日本経済新聞・電子版』など、雑誌やホームページに寄稿している。2014年10月20日に「日本人投手黄金時代 メジャーリーグにおける真の評価」(KKベストセラーズ)を上梓。Twitterは(http://twitter.com/daisukesugiura)

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