【ボクシング】因縁の米露対決 再戦の行方は!? ウォードvs.コバレフ、17日にゴング

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コバレフとの再戦に臨むウォード。今回こそ完全決着をつけられるか!? 【(C)NAOKI FUKUDA】

 17日(日本時間18日)、米国ネバダ州ラスベガスのマンダレイ・ベイ・イベントセンターで行われるプロボクシングのWBAスーパー、IBF、WBO、3団体統一世界ライトヘビー級タイトルマッチ、王者のアンドレ・ウォード(33=米国)と前王者のセルゲイ・コバレフ(34=ロシア)が注目を集めている。

 昨年11月、両者は今回と逆の立場で拳を交え、ウォードが12回判定勝ちを収めて王座を獲得した。しかし、2回にウォードがダウンを喫したこともあってコバレフ優勢とみたファンや関係者の方が多く、判定には疑問の声が上がったものだ。因縁の度合いを増した再度の「米国vs.ロシア」の対決は、果たしてどちらがどんな形で決着をつけるのだろうか。

世界戦における米露対決

 ロシアの選手がプロ活動を開始したのはソビエト連邦末期のペレストロイカ(改革)以降のことで、したがって米国とロシアのボクサーが世界戦で拳を交えた例は、まだ30に満たない。そうしたなかで興味深いのは、ロシア勢の勝利が目立つ点だ。

 オーストラリアを主戦場にして90年代後半から2000年代初頭に活躍したスーパーライト級王者、コンスタンチン・チュー(ロシア)は、「アメリカン・キラー」といってもいい存在だった。世界戦でロジャー・メイウェザー、シャンバ・ミッチェル、ザブ・ジュダー、ジェシー・ジェームス・レイハといった当時の米国のトップ選手たちに圧勝して存在感を示したものだ。しかし、ヴィンス・フィリップス(米国)には不覚の10回TKO負けを喫している。

 ヘビー級では213センチの史上最長身王者、ニコライ・ワルーエフ(ロシア)が05年にジョン・ルイスからWBA王座を獲得し、防衛戦でも米国の2選手をTKOで退けた。またスルタン・イブラギモフ(ロシア)はシャノン・ブリッグスからWBO王座を奪い取り、元王者のイベンダー・ホリフィールドを退けて防衛に成功した。アレクサンデル・ポベトキン(ロシア)も元王者のハシーム・ラクマンを2回TKO、セドリック・ボスウェルを8回KOで退け防衛に成功している。

「米国vs.ロシア」の組み合わせで象徴的なのは7年前、WBOミドル級王座決定戦でディミトリー・ピログ(ロシア)がダニエル・ジェイコブスを5回TKOで下した試合であろうか。のちに世界王者になり、今年3月にはゲンナディ・ゴロフキン(カザフスタン)をあと一歩まで追い込んだジェイコブスの若き日の挫折としても記憶されている。さらに14年11月、コバレフがバーナード・ホプキンスに大差の判定勝ちを収めたときも「ロシア強し」を印象づけたものだ。

 こうしたなか13年にティモシー・ブラッドリー、14年にクリス・アルジェリがロシアのファイター、ルスラン・プロボドニコフに競り勝って一矢報いているが、いずれもダウンを喫しており、辛勝の印象が強い。

 対米国においてロシア勢の勝率が高いのは、基本に忠実なアマチュア仕込みの戦闘スタイルが功を奏しているとみることができる。一方、組まれたカード自体に力量差があったケースもあり、一概に優劣はつけられないともいえる。

オッズは11対8でウォード有利

前戦ではダウンを奪いながらも判定に泣いたコバレフ。前回同様、前半に倒せるかが勝負の鍵となるか 【(C)NAOKI FUKUDA】

 コバレフ対ウォードの初戦は昨年11月にラスベガスで行われた。

「米国vs.ロシア」のカードとしては、最も高い次元で力量の接近した者同士の試合だったといっていいだろう。挑戦者だったウォードが12回判定勝ちを収めたのだが、このときは採点を巡って揉めに揉めた。ジャッジ三者はそろって114対113の微差で新王者誕生を支持したが、観客やテレビ視聴のファンの多くはコバレフの勝利とみたのだ。

 2回に右をヒットしてダウンを奪ったコバレフが前半で大量リードを奪っており、この貯金を吐き出したようには見えないという意見が多かった。コバレフ自身も「判定を盗まれた」と怒りを隠そうとはしなかった。

 こうした流れで必然的に直接の再戦となったわけだが、6月上旬時点のオッズは11対8でウォード有利と出ている。初戦の中盤以降、足とスピードを生かしたボクシングが冴え、微妙なポイントを拾っていったスキルや戦術が評価されているようだ。ウォードは「初戦が接戦だったのは事実だが、中盤以降の戦いをしっかり見直してほしい。勝ったのは間違いなく私だ」と主張し、返り討ちに自信をみせる。

 これに対し強打が売りのコバレフは「ウォードのパンチはまったく効かなかった。彼自身が負けていたことを自覚しているはずだ。私に言わせれば彼は偽物の世界チャンピオンさ。今度こそ叩きのめしてやるよ」と鼻息が荒い。

 その意気込みのままコバレフが前半から飛ばして馬力で蹂躙(じゅうりん)してしまう可能性もあるが、ウォードがこれを空回りさせる展開も考えられる。コバレフは初戦で終盤に疲労を感じさせ失速しただけに、長丁場の戦いは避けたいところだ。ウォードがテクニックを駆使して返り討ちにするのか、それともコバレフがパワーで押し潰し雪辱と王座奪回を果たすのか。「米国vs.ロシア」の因縁の再戦に注目したい。

Written by ボクシングライター原功

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アンドレ・ウォード(アメリカ)/3団体統一世界L・ヘビー級チャンピオン
セルゲイ・コバレフ(ロシア)/前3団体統一世界L・ヘビー級チャンピオン

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