オリックス駿太が迎える勝負の夏! メンタルアップで定位置奪取へ

米虫紀子

5月31日のヤクルト戦でサヨナラ二塁打を放ち、チームメートに祝福される駿太(8) 【写真は共同】

 昨年までは守備の男だった駿太が手にした、打撃に関わる最初の栄誉だった。

 今月8日、オリックスの外野手、駿太は5月度の「スカパー! サヨナラ賞」を受賞した。ひと月の間に7日と31日の二度もサヨナラ打を放ったのだから文句なしの受賞だ。

「うれしいですね。サヨナラを打てたこともうれしいし、それでこういう賞をいただけるのは本当に光栄です。今まで賞なんてもらったことないんで。こんな賞があることは全然知らなかったですけど(笑)」

梶谷との自主トレで切り替えを学ぶ

 駿太は、前橋商高から2010年のドラフト1位で入団。1年目には、高卒新人外野手としては52年ぶりとなる開幕戦の先発出場を果たした。ただ、俊足と強肩を活かした守備は大いに投手の助けとなったが、打撃が課題だった。身体能力もセンスもあるが、好不調の波が大きく、なかなか1シーズンを通してスタメンに定着できなかった。

 しかし今年は好スタートを切った。2年ぶりに開幕スタメンを勝ち取ると、コンスタントに安打を重ねていった。15日試合終了時点で58試合に出場し、43安打2本塁打17打点、打率2割5分9厘の成績を残している。

 変化の一因は考え方を変えたことだった。そのきっかけとなったのが、1月に行った横浜DeNA梶谷隆幸との自主トレだった。

 想像をはるかに上回るハードなトレーニングメニューに必死に食らいつき、体が変わっただけでなく、メンタル面でも大きな影響を受けたという。

「気持ちの切り替え方ですね。1試合4打席どういうふうに打席に立つかという話になった時に、『4打席全部打ちたいと思っちゃダメ』と言われました。3打数1安打で、1個四球を取れたら超ラッキーだって。野球はもともと打てる確率が低いスポーツだから、『打ちたい打ちたい』と思いすぎるのはよくない。僕は今まで、『全部打ちたい!』でした。そうじゃなく、極端に言えば、どうせ打てないだろう、ぐらいの気持ちの方が、打てなかった時に切り替えられるし、1本打てたらラッキーと思える。そうやって1年間気持ちを保たせるということを教わりました」

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著者プロフィール

大阪府生まれ。大学卒業後、広告会社にコピーライターとして勤務したのち、フリーのライターに。野球、バレーボールを中心に取材を続ける。『Number』(文藝春秋)、『月刊バレーボール』(日本文化出版)、『プロ野球ai』(日刊スポーツ出版社)、『バボちゃんネット』などに執筆。著書に『ブラジルバレーを最強にした「人」と「システム」』(東邦出版)。

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