ウルグアイの術中にはまった日本 エースの不在で狭まった攻撃の選択肢
狙いとするアグレッシブな戦いができていたが……
ウルグアイと対戦した日本は粘り強く戦うも、前半と後半の終盤にそれぞれ失点を喫し、0−2で敗れた 【写真:田村翔/アフロスポーツ】
狙いとする戦いができなかったわけではない。
日本は第1戦で先発したMF板倉滉(川崎フロンターレ)が負傷したこともあり、ボランチの組み合わせを変更。市丸瑞希(ガンバ大阪)と原輝綺(アルビレックス新潟)の2枚を先発させた。ゲームを組み立てる力がありパスに定評のある市丸と、高い運動能力と読みの良さを生かした守備が評価される原という攻守の特長を持つ2人の組み合わせで、ウルグアイの強力なMF陣に対抗する。さらに右サイドバックには第1戦での消耗に加えて、相手のスピード対策として、速さが武器のDF藤谷壮(ヴィッセル神戸)が入った。
前日練習では前線からの守備で相手の選択肢を限定しながら、4−4−2のブロックを形成して対応していく守備システムを入念に確認。奪ったボールを素早くカウンターにつなげていくイメージも共有した。実際、「守備をセットしたときは守れていた」(原)というのは共通した感覚で、危険なシーンを次々に作られてしまうような流れではなかった。
もう1つ重要だったのは優勝候補相手に萎縮することなく、チャレンジャー精神をもって戦うこと。「消極的になったら逆にやられる」(市丸)というマインドを保ちながらアグレッシブなプレー選択を続けるということもできていた。恐れず縦パスを入れながら、守備でもズルズルと下がることはしなかった。
心理面、戦術面共に悪影響を及ぼした小川の離脱
エース小川の負傷交代は選手たちに心理的な動揺をもたらした 【写真:田村翔/アフロスポーツ】
だが、思わぬことから試合は何とも重苦しいものとなっていく。20分、そのチャンスに絡んだエースの小川が負傷交代となってしまったのだ。芝生に足を取られて左ひざをひねるような形で受傷。軽傷とは思えぬ形でエースを失ったことは少なからぬ心理的な動揺を選手たちにもたらした。加えて代わりに入ったFW久保建英(FC東京U−18)は「体が温まっていなかった」と振り返ったとおり、明らかに心身共に準備不足。動きに精彩を欠いていた。
戦術面でも小川不在は大きかった。高さがあり、相手DFを背負ってボールを受けられる小川の不在は、攻撃の選択肢を狭くした。点を取るという意味でも、このチームで圧倒的な実績を残してきた小川不在の影響は大きい。「守っていれば、小川が決めてくれるかもしれない」という期待感が消えることは、心理面にも悪影響を及ぼすことになった。
38分、ウルグアイがそうして生まれた一瞬のスキを突く。1本のロングフィードから右サイドのスペースを突いたDFホセ・ルイス・ロドリゲスのパスを受けたFWニコラス・スキアッパカッセがDF中山雄太(柏レイソル)の懸命のディフェンスを余裕をもっていなし、右足シュートを突き刺す。これは日本のミス以外で作り出した最初のチャンスだったが、ウルグアイはそれを決め切ってみせた。
「まずは小川(航基)くんをターゲットにというのは1つあったので、いなくなってそれができなくなりテンポが悪くなった。相手のリズムに引きずり込まれ、そのあとに失点という流れになってしまった」(原)