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錦織、グランドスラム優勝のカギは「心」
松岡修造が語る全仏テニス見どころ

以前よりも“怖さ”が低いBIG4

マドリード・オープンでは準決勝でジョコビッチを、決勝でティエムを破って優勝したナダル。全仏制覇へ向けて、絶好調だ
マドリード・オープンでは準決勝でジョコビッチを、決勝でティエムを破って優勝したナダル。全仏制覇へ向けて、絶好調だ【写真:ロイター/アフロ】

――全仏では、やはりBIG4の存在は侮れない? ナダルやフェデラーがかなり調子を上げてきてる。


 全員侮れないです。でも今は、以前に比べるとその“怖さ”が低いんです。錦織選手は以前に、「ジョコビッチには苦手意識があります。かつ、戦略が見えない」と自分から言っていたようです。ただ、今のジョコビッチは僕から見ると「穴」だらけです。(今までは)どんなことをしていても彼は、勝つものを見つけ出す力、メンタルの力があった。その力が今はないですね。

 マリーは今、ケガを抱えていますが、(状態は)戻ってくると思います。でも錦織選手にとってマリーはあまり怖くない。自分の戦略どおりに自分がやれば勝てるという思いがあると思います。


 フェデラー、ナダルに対しては、ちょっと未知数です。(トーナメントの)どの段階で当たるかもありますし。フェデラーは全仏だけの話をすれば怖くはないです。ただ、マイアミ・オープン準決勝での、ニック・キリオス(オーストラリア)との試合を見ると、昔よりも上手くなっているという気もしました。

 ナダルは、一番勝ちたい大会ではないでしょうか。ここの全仏にテニス人生をすべて懸けて、少し攻撃的なプレーをしてくると思います。そうじゃないと勝てないと分かっていますから。


 錦織選手の優勝にはいろいろな壁があります。組み合わせというのは、相当大事になってきますね。そういう運というものも、彼につかんでほしいと思います。


――22歳のキリオスや、20歳のアレキサンダー・ズベレフ(ドイツ)が台頭してきている。彼らの世代の存在感が増してくる?


 キリオスは予想できないですね。フェデラーと対戦した際、相手への応援が多いからといってラケットを投げるような場面もありましたが、彼のメンタルが安定して本当にテニスの調子が良かったらだれも勝てないと思います。でも彼は世界1位にはならないと、僕は思います。心の安定感がなさ過ぎる。もし安定してきて、グランドスラムで1度優勝したとしても、継続する力がない選手だと予想しています。若手世代は、強く、勝つ可能性はあるけど波がある。


 ジョコビッチやナダル、マリー、フェデラーのような選手たちは、あと数年出てこないんではないでしょうか。ということは、今の時代がまだ続くという事でしょうね。

フェデラーとナダルの復活、22歳のキリオス(写真)らの台頭などが話題に上がる男子テニス
フェデラーとナダルの復活、22歳のキリオス(写真)らの台頭などが話題に上がる男子テニス【写真:ロイター/アフロ】

――錦織も「ここ数年が勝負だ」とまさに話していた。


 そう思います。BIG4があって、BIG8、BIG12とか。そういう捉え方になって、その中で誰が勝つか分からない状況になってきている。その中を先頭に立って抜け出すチャンスが一番あったのが錦織圭だったのは間違いありません。


 でも今はその見方について、世界の中から少し“疑問信号”が出てきている。すごく辛い言い方ですが、ちょっと負け始めたら、周りの選手が錦織選手のことを怖がらなくなる状況だと思います。錦織選手に威圧感がなくなってくると、よりパワーで押されてしまう。そして、パワーで押してこられたらかなわない。そうなるのが一番怖いです。


――今回の全仏は、錦織のテニス人生の中で大きな節目に?


 大きく見ると、今年の1年、グランドスラムは大きいですね。全仏に関して言うと、この2年は負けてはいますが彼の中では「チャンスがある」という思いだったと思います。特に今年、(マリーやジョコビッチが不調で)周りを見た時に「チャンスだ」と錦織選手が思わないわけはないですよね。その中で彼のメンタルがどう強く出てくれるか。期待したい部分と、不安な部分があります。皆さんが思っている感覚と、僕も一緒です。


――日本人では錦織に次ぐ世界ランクにつける西岡良仁(ミキハウス)について。一時は自己最高の世界ランキング58位(3月20日付)に浮上し勢いがあったが、直後に左膝前十字靭帯断裂の大ケガ。ツアーから長期離脱するこの時期を、どう過ごしたら良い?


 (ケガした後に)彼からメールをいただきましたが、ショックどころではないですよ。(復帰までに)相当な期間がかかりますから。一番良い時期で。彼が最も変われる時だった。僕も世界ランキング60位に上がって、これからという時に膝の手術をしました。1年間を棒にふった、あの時の感覚とすごく似ているんです。僕と同じ繰り返しをしてほしくない。


 良仁には、本を読んだりしてほしい。彼の強さはメンタルの強さでもあり、弱さでもあるんです。彼はデビス杯の時もそうでしたが、大事な時に自分から心を乱してしまう。怒りによって変わってしまう。それによって今まで損をしていた部分がたくさんあります。長い期間、試合には出られませんが、ここは(メンタル面を)治す一番のチャンスですよね。ひとつの修行として捉えてほしい。そうした時に、より違った良仁で帰ってこられたら。


 ちゃんとやっていけば、テニス自体は変わらない、絶対に戻るので。より強い西岡になってくれると僕は願っています。

スポーツナビ

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