レアルとバルサが演じる喜劇と悲劇 CL4強は特徴の異なるチームの激突に
バルサに必要なのは原点回帰
現在のバルセロナは攻守のバランスが崩れつつある、ひびの入ったチームになっている 【写真:なかしまだいすけ/アフロ】
ルイス・エンリケの退任が決まった今、バルセロナはチームやフロントの改革に臆せず臨める監督を探さなければならない。バックアッパーのレベルが低く、試合で使える選手が13人ほどしかいないチームが自信を取り戻せるような即戦力も補強する必要がある。
攻守一体のフットボールを実現していた過去の時代とは異なり、現在のバルセロナは攻守のバランスが崩れつつある、ひびの入ったチームになっている。ルイス・エンリケが然るべきレベルになかったことは明らかだ。後任監督はフランク・ライカールトやジョセップ・グアルディオラの時代(03〜12年まで)に見いだした原点へと回帰しなければならない。
先述の“エル・クラシコ(伝統の一戦)”では、演劇の喜劇と悲劇のごとく対照的な状態にある2チームが、リーガのタイトルを懸けて対戦した。現在、首位を走っており、CLでも準決勝に勝ち上がったホームのレアル・マドリーに対し、バルセロナはライバルを勝ち点3差で追う立場で、ヨーロッパの舞台からは姿を消したばかりだった。試合は後半アディショナルタイムのメッシのゴールで3−2と劇的勝利を挙げたバルセロナが首位に浮上したものの、レアル・マドリーは1試合未消化となっている。
伏兵モナコはリーグでも首位を走るダークホース
18歳の新星ムバッペら破壊力抜群の攻撃陣を擁する伏兵・モナコにも注目が集まる 【写真:ロイター/アフロ】
昨季の決勝でPK戦の末に宿敵レアル・マドリーに敗れた際、アトレティコ・マドリーが翌シーズンに立ち直ることは極めて困難だと誰もが考えていた。だが、これまで何度も強靭な精神力で障害を乗り越えてきたこのチームは、システムを成熟させ、選手個々の能力を引き出しながら、ファイナルまであと2試合のところまでたどり着いた。
熾(し)烈を極めたレスターとの準々決勝では、ビセンテ・カルデロン(ホームスタジアム)でのファーストレグを疑惑のPK(あれはペナルティーエリア外で生じたファウルだった)による1ゴールで制した。敵地でのセカンドレグは、前半26分にサウール・ニゲスのゴールで先制し、その後はホームチームの猛攻を耐え凌いだ。ホーム&アウェーの戦い方を熟知し、リーガ・エスパニョーラでも3位の座を固めつつあるアトレティコ・マドリーは、準決勝での対戦が決まったレアル・マドリーにとって困難なライバルとなるだろう。
レアル・マドリー、アトレティコ・マドリー、ユベントスとともに4強入りを果たしたのは伏兵モナコだ。ハイテンポのプレーリズムを武器にリーグ・アンでも首位を走るダークホースは、18歳の新星キリアン・ムバッペや相次ぐけがを乗り越えて完全復活を果たしたラダメル・ファルカオら、破壊力抜群の攻撃陣を擁している。
全く異なる特徴を持つ4チームが勝ち残った今季のCL。ラテン一色となった準決勝では、カーディフのウェールズ国立競技場で行われる決勝を目指して、魅力的な戦いが繰り広げられるはずだ。
(翻訳:工藤拓)