レアルとバルサが演じる喜劇と悲劇 CL4強は特徴の異なるチームの激突に
判定にも助けられ、史上初の連覇へ望みをつなぐ
バイエルンとのCL準々決勝を制したレアル・マドリーが史上初の連覇に望みをつないだ 【写真:ロイター/アフロ】
サンティアゴ・ベルナベウに強敵バイエルン・ミュンヘンを迎えたチャンピオンズリーグ(CL)の準々決勝で、レアル・マドリーはハンガリー人レフェリーのビクトル・カッサイ主審が下した疑惑の判定にも助けられ、延長戦まで苦しみ抜いた末に史上初の連覇へ望みをつないだ。
ビダルの退場により不利な状況となったバイエルン。レフェリーの判定には疑問符がついた 【写真:ロイター/アフロ】
この試合でクリスティアーノ・ロナウドが決めた3ゴールのうち2ゴールにも疑問符がついた。1つは明らかなオフサイドが見逃されており、さらにもう1つもオフサイドが取られてもおかしくない、際どいポジションから決めたものだったからだ。そのためバイエルン側はレフェリーに“試合を盗まれた”と感じていたようだが、優勝候補の筆頭に挙げられていたバイエルンを相手に、2試合で計5ゴールを決めたC・ロナウドのポテンシャルとフィニッシャーとしての能力は疑いようがないものだ。
判定による恩恵は別として、現在のレアル・マドリーは強靭(じん)で得点力が高く、豊富な駒をそろえており、ディフェンスラインには偉大なるセルヒオ・ラモスと世界最高レベルの両サイドバック(SB、ダニエル・カルバハルとマルセロ)を擁している。マルセロがバロンドール候補に挙がらない理由があるとすれば、それはピッチ上のプレーポジションくらいしかない。
ユベントスが2試合を通して堅牢ぶりを証明
ユベントスは今季のCLでいまだ2失点。準々決勝でもその堅牢ぶりを証明した 【写真:Maurizio Borsari/アフロ】
ルイス・エンリケ率いるバルセロナは、19日の第2戦で逆転の機会を全く見いだせぬままユベントスの堅守に屈した(0−0、2戦合計0−3で敗退)。パリ・サンジェルマンとの決勝トーナメント1回戦では奇跡の逆転劇を実現したが、今回は2試合を通してMSN(リオネル・メッシ、ルイス・スアレス、ネイマールの3トップ)が1ゴールも挙げることができなかった。今季のCLではまだ2失点しか許していないユベントスは、この2試合でその堅牢ぶりをあらためて証明した。
2014−15シーズンにCLを制して以降、バルセロナは2季連続で準々決勝で姿を消すことになった。その事実は現在のチームが過渡期を迎えたことを示している。とはいえ、CL敗退の直後から、警笛を鳴らすようにサイクルの終焉(えん)を主張しはじめた一部のメディアとは違い、私はそこまで大きな変化を必要としているとは考えていない。