羽生挽回の1位「昨日は寝付けなかった」 2位宇野、今季は「上の方で戦えている」

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羽生は出場選手中ただ一人の200点超えで1位 【坂本清】

 フィギュアスケートの国別対抗戦第2日が21日、東京・国立代々木競技場第一体育館で行われた。男子フリースケーティング(FS)では羽生結弦(ANA)が200.49点で1位、宇野昌磨(中京大)が198.49点で2位だった。

 この結果、チーム別順位は日本が1位、2位に米国、3位にロシアがつけた。大会最終日の22日は、ペアと女子のFSが行われる。
 
 国別対抗戦は今季の世界ランク上位6カ国による団体戦。男女シングル各2名、ペアとアイスダンス各1組でチームが構成され、各種目の順位に応じて与えられるポイントの合計で争われる。

羽生、後半に4回転3本着氷「自信につながっている」

フリーの演技をする羽生 【坂本清】

――フリーの演技を振り返って。

 もうちょっと頑張るかなという気持ちと、今季ずっと課題にしてきた(4回転)サルコウジャンプをきれいに決めることができましたし、後半の4回転トウループも今日は絶対にやろうと思って、初めて試合で4回転トウループ+1回転ループ+3回転サルコウのコンビネーションをやったので、一応、形としてはなんとか跳ぶことができたので、ある程度満足はしています。

――ショートの結果を受けて、フリーではどのような修正をしてきた?

 今回の試合はショートとフリーの合計で競うものではないと、自分の中では言い聞かせてきたんですけど、世界選手権のときはショートを終えてトップと10点差、今回はトップと20点差くらいあって、実際に自分のパーソナルベストを更新するには何点くらい必要かなと考えたら、あと(4回転)ルッツでも跳ばないといけないんじゃないかと笑えてきました。みんなにはたくさん力をもらいっぱなしで今シーズンやってきて、やっと何か自分のために、みんなの力を使わせてもらった感じで今、滑り終えています。

――来シーズンはどのような羽生選手を見せてくれるのか?

 今日やってみて、後半の「4回転ジャンプを3回」が初めて試合で入った(跳べた)ので、それは自分にとってうれしいです。あとは今回、後半に4回転を3回入れて、計5回構成の中で(そのうち成功は4回)、最後にトリプルアクセルをやる練習を全くやってこなかったので、その点ではもっと体力をつけないといけないと思います。

――冒頭の4回転ループは慎重だったように見えた。ただ後半の4回転はやってやろうという気持ちが出ていたように思うが、演技中にどういう心境の変化があった?

 今日の目標としては、世界選手権並みの演技をしようと思っていましたが、(それと同時に)自分の中で挑戦するという気持ちを強く持っていました。自分に課していた課題は、後半の4回転サルコウをしっかりと決める、後半の4回転トウループを2本決めること。それが今回の最終目標だったので、確かに前半はきれいに跳ぼうという意識がありましたし、ビールマンもしていないし、ステップも感情は入れていましたけど、しっかりとコントロールしながらやっていました。世界選手権の自分が、コントロールしないで偶然入れたところ(ゾーン)に、コントロールしてそこに入れようという試みをして、フリーの演技をできたんじゃないかと思います。

――4回転を5本入れる構成をいつやろうと思ったのか? あと演技が終わったあとはうれしそうな表情だったが、どういう心境だったのか?

(ジャンプ2本目のサルコウで)1回パンクしてしまっているので、実際には4本しか入っていないですけど、5回挑んで、後半3回しっかり跳んだということで目標は達成できていたので、そういう意味ではうれしいなという気持ちはありました。5回構成にしようと思ったのは、やっぱりショートが終わってすごく悔しかったので、昨日の夜なかなか寝付けなくて、(深夜の)3時、4時までずっとイメトレばっかりしていました。そのときに「こんなに悔しいんだったらもう1回、4回転やってしまえよ」と思って、それで決めました。実際に前半にサルコウをパンクして、スピンをやっているときに、6本にしようかと思ったんですけど、そこまで無理するとこのプログラム自体がバラバラになって申し訳ないと思ったので、とりあえずアクセルをもう1本頑張ろうと思ってやっていました。

――後半に4回転3本を入れたことは今後にどうつながっていく?

 いつもシーズンが始まる前に言っているんですけど、自分のアベレージを上げたいと思っているんですね。(ジャンプでミスをした後の)リカバリーのことを考えたときに、(後半に4回転3本を跳べたことは)それができるんだという自信につながっているし、後半に3回もやっているんですけど、サルコウとトウループは前半に跳んだかのようなクオリティーで跳べているので、余裕を持って、後半の4回転に挑めるようになったんじゃないかと思います。

――ステップを見て体が重そうだったが、後半のことを考えてのことだった?

 最初から後半に4回転3本入れようと思っていたので、そういう意味でコントロールしようという気持ちはありました。でも、ある意味こういう表現、こういうステップもありなのかなと自分では思っていました。

――四大陸のときもリカバリーで5本挑んでいたが、最初から入れようと考えるのと、リカバリーでは違う?

 気持ちとしては、あまり変わらないかもしれないですけど、何より今回の収穫は後半に3本入っていること。四大陸は後半の1発目がパンクしているので、そういう意味では今回とは達成感が違うと思います。

――今回挑戦したことで、アベレージとして来季も後半に4回転3本を入れていこうと考えている?

 世界選手権が終わってみて、練習はこの構成で練習はしてみました。世界選手権のときのクオリティーで5本はさすがに難しかったですけど、時間もない中で、体力も落ちている中で、きれいに4回転3本、なんとか3連続につなげられたという意味では、1点でも2点でも多く点数を稼ぎたいと自分の気持ちが乗っているときに、使える武器になると思っています。

――夜中にイメージトレーニングをしていたということだが、どういうことをイメージしていた?

 ショートの最初のループは目をつぶれば、いつでも思い出すことができるくらい脳裏に焼き付いていて、自分が見ていた光景、テレビで見た光景、ファンの方々が見ていた光景がすべて焼き付いていて、それが出てくるたびに目が覚めて眠れずといった感じで……。ただ、その悔しさがあったからこそ、そして国別対抗戦だったからこそ思い切った演技ができたと思います。

――来シーズンも4回転5本のプログラムを考えている?

 そこはまだ……(これから)考えなくてはいけないなと思っています。今日間違いなく言えることは、本当に前半で跳んだかのような4回転サルコウ+3回転トウループ、4回転トウループを後半に連続で決めることができたので、それは間違いなく、やっと自分のジャンプらしいジャンプを後半でも入れることができるようになったかなと思います。

――最後のアクセルは疲れが来た?

 パーフェクトの考えでいくと、前半のサルコウが抜けなければ、最後のトリプルアクセルをやることができないので、そういう意味で練習をしてこなかったからこそ、疲れが出てしまったかなと思います。ただ、試合ですけど、良いトレーニングになりました。

――力みもあった?

 そうですね。イナバウアーをやってからそのままアクセルにいこうか、1回モホークしてからアクセルにいこうか、イーグル入れてからアクセルにいこうか迷ったんですけど、一番難しいことをやろうと。ここまで来たんだから、一番難しいことをやって最後は笑っていたいと思っていました。

――体力をつければ全然いけそうだったのか?

 精神状態がまともであれば全然(アクセルも)跳べたなと思います。ちょっと考えながらやっていたので、やったことがないという不安感を持ちながら挑んでしまったので、体力がないというよりも不安が先走ってしまったかなと思います。ただ、すごく良いトレーニングになりました。

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