女子プロレス界の全盛期を彩った選手の１人、“飛翔天女”豊田真奈美が１１月３日に行われる自身３０周年記念大会（横浜・大さん橋ホール）での引退を発表した。

　長期欠場も数度しかなく、「ケガをしても治るもの」と常にリングの上で３０年を突っ走ってきた豊田。それでも、ここまでの蓄積が一気に噴出し、３０周年というタイミングでリングを降りることを決断した。

　引退を決めた豊田選手と、スポーツナビでプロレス連載を行っているお笑いトリオ東京03豊本明長さんとの対談後編。今回は引退ロードについて語ってもらった。

――これからが引退ロードになりますが、どのように進んでいく予定ですか？

豊田　ＯＺアカデミーを主戦場にしていますが、いろいろな団体に出させていただくと思います。あと半年あるので、すべての選手とやりたいのですが、さすがにそれは不可能だと思うんです。限られた選手としかできないので、ならば、自分の最後の興行に、すべてを詰め込みたいなって思っています。ですから、少しいろいろなことを考えています。
　私、若いときに“３０人抜き（９５年１２月、１人１分ずつ３０本勝負を行った）”をしたんですよ。それで今、私についてきてくれている藤本つかさ（アイスリボン）が私を超える“３２人抜き”をしたじゃないですか？　日高郁人さん（ＺＥＲＯ１）も２０周年興行で２０人抜きをしていたし、いろいろなものにヒントがあるんですよね。
　すべて詰め込んじゃえばいいやと思っていて、やりたい選手と１本ずつやればなんですけど、私の体力が持つかな？

豊本　大丈夫、持ちますよ。（笑）

豊田　もし本当にやるとすれば、入場から１分しか出られない選手もいるから、入場はみんな派手に出てくださいねって伝えます。そうすれば私も休めるし。（笑）

豊本　とはいえ、縁のある選手は多団体に上がっている分、たくさんいますよね。厳選して、全部詰め込むことになりますかね？

豊田　何人になるんだろう？

豊本　相当な数になりますよね。

豊田　この日は女子の興行がそれほど入っていないようなので、何人ぐらい来てくれるんだろう？　最初に３０周年記念を決めたときに、いろいろな団体に声を掛けていたので、空けてくれたと思うので、ありがたいですよね。

――豊本さんとしては、豊田選手の試合で見たい相手はいますか？

豊本　見たい試合ですか？　同期近くで、まだ現役でやってらっしゃる方も沢山いますよね。アジャ（・コング）さんしかり、下田（美馬）さんも同期ですよね。（井上）京子さんも。そのあたりの選手が全員そろっている画を見てみたいです。
　そもそも豊田さん、全女を止めるとき「全女イズムはここにない」と言って退団されましたよね？

豊田　まあね。そうなんですよ。

豊本　それでいろいろな団体を回り、最終的には多分、豊田さん自身が僕の中では、「全女」なんですよね。多分、ほかの方は男子レスラーなど、いろいろな影響を受けてヒントを形にしていると思うんですけど、豊田さんはそういうの関係ないですよね。

豊田　感性でやっていますから。人の真似をしたら、真似でしかないんで。それならその選手を見たほうが面白いじゃないですか？

豊本　そういうところですよね。ほかの方はそういうのを取り入れて、自分の中で消化して個性にされていますけど、豊田さんは周りは関係ない。本当にずっと「全女」って感じがしていて、そういう意味で最後の「全女」が見られるのが、この空間になるのかなって思います。
　そういえば、「技を継承する」ということはしないですか？

豊田　すでに２人いますよ。ジャパニーズ・オーシャン・サイクロンは藤本が使ってますし、ジャパニーズ・オーシャンはつくし（アイスリボン）です。

豊本　ほかは？

豊田　あとはクインビー・ボムがありますけど、どうしましょうね？（笑）

豊本　そういうのが女子プロっぽいと言いますか、様式美というか。そういうのは見たいですね。