連覇狙う本田真凜、女子は日露対決へ 「若手の登竜門」世界ジュニアを占う

 ジュニアにとって最高峰の試合であるフィギュアスケートの世界ジュニア選手権が、3月15日から19日に、台湾の台北で行われる。シニアでの活躍に向けた登竜門とも言われる世界ジュニアは、かつては浅田真央(中京大)、高橋大輔、羽生結弦(ANA)らが優勝し、翌年からのシニアデビューへの足がかりにしてきた。今回は、平昌五輪のプレシーズンということもあり、五輪出場を狙う選手にとっては、重要なタイトル争奪戦となりそうだ。

女子は本田、坂本、白岩が出場

連覇を狙う本田真凜。シニアデビューに向けて存在感を示したいところだ 【坂本清】

 女子は、ここ数年同様「日本とロシアによる表彰台独占」が続きそうだ。

 まず日本からは、本田真凜(関西大中・高スケート部)、坂本花織(神戸FSC)、白岩優奈(関西大学KFSC)の3人がエントリー。本田は昨季の世界ジュニア女王で、連覇を目指す。今季は身長が8センチ以上も伸び、昨季に比べて滑りもダイナミックになった本田。全日本ジュニア選手権3位、そして全日本選手権では4位とお姉さん方を押しのけて表彰台に迫った。「今年は背が伸びたので、体力づくり、身体づくりをしています。ノービス、ジュニアの選手たちを引っ張る存在になっていきたい」と言い、来季のシニアデビューに向けて準備は万全だ。今季のジュニアグランプリ(JGP)ファイナルは、進出していたもののインフルエンザで欠場しており、その悔しさもぶつけたい。

 坂本は今季の全日本ジュニア女王。スピード感ある滑りと、大きなジャンプが魅力の16歳だ。14歳だった2014年全日本ジュニアで銀メダルを獲得したものの、昨季の同大会は5位。今季はジュニアを継続し「ジュニアの日本一」を目指すと、全日本ジュニアでは飛距離のある「3回転フリップ+3回転トウループ」を武器に、目標だった初優勝を遂げた。「去年の悔しさがあったから、ここまでできた。フリーでは1つミスがあっても後に引きずらなくなった」と坂本。JGPファイナルでも3位に入り、世界ジュニアの表彰台に向けて勢いを増している。

日本からは坂本(左)、白岩(左から2人目)も出場。共に優勝を視野に入れている 【写真:アフロスポーツ】

 また白岩は、昨季の世界ジュニア4位となった15歳。昨シーズン終了後に骨折し、オフはリハビリからのスタートとなった。しかし回転軸が細く安定している「3回転ルッツ+3回転トウループ」を武器に、全日本ジュニアは2年連続の2位に。全日本選手権はショートプログラムで手袋がスケート靴にひっかかるハプニングがあり17位と出遅れながらも、フリースケーティング3位で、総合6位まで巻き返す底力を見せた。「フリーでは全部出し切ることができた」と涙も見せ、世界ジュニア出場を勝ち取った白岩。シーズン終盤に向けて調子は上向きだ。

表彰台争いは日本とロシアの6人

 対するロシア勢は、ポリーナ・ツルスカヤ、アリーナ・ザギトワ、スタニスラワ・コンスタンティノワの3人がエントリーした。

 ザギトワは今季のJGPファイナルで、ジュニアの選手としては史上初の200点超えとなる、207.43点で優勝。スケート界の注目の的となっている14歳だ。ショート、フリーともすべてのジャンプを、得点が1.1倍になる演技後半に入れるという「攻め」のプログラムが特徴。来季は五輪の出場年齢に達することもあり、五輪メダルへの足がかりとして今季の世界ジュニア女王を狙ってくる。

ザギトワは今季のJGPファイナルで、ジュニアの選手としては初の200点超えを果たすなど、注目の的となっている 【写真:ムツ・カワモリ/アフロ】

 ツルスカヤは昨季のJGPファイナル女王で、16年の世界ジュニアでも優勝候補だったが、試合直前にケガをして棄権。3か月のリハビリを経て復帰した今季は、JGPシリーズで194.02点の高得点をマークし、JGPファイナル進出を決めていた。ところが再び右膝のケガで欠場。12月に手術を受け、今大会を目指してきた。ダイナミックなジャンプと大人びた表現力を持ち合わせる脅威の存在なだけに、ケガの回復が待たれている。ザギトワとツルスカヤは、現世界女王のエフゲーニャ・メドベージェワと同門で、普段の練習からハイレベルな戦いを繰り広げている選手でもある。

 コンスタンティノワは、ロシアジュニア選手権で2位となり世界ジュニア出場をつかんだ16歳。身長163センチで手足が長く、身体全体を使った表現力がある。今季は自己ベストの186.97点をマークしており、力を発揮できれば優勝も視野に入るだろう。

 女子は日本とロシアの6人が他国の選手を圧する勢いで、表彰台争いを繰り広げることは間違いないだろう。

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