予選突破しWBC初出場のイスラエル サプライズのカギは結束力
メジャー通算124勝の実績を持つマーキー(写真は2016年のWBC予選のもの) 【MLB Photos via Getty Images】
ロースターにイスラエルのパスポートを持っているのは数名だけで、ユダヤ系米国人を中心としたチーム構成。メジャー通算124勝を挙げたジェイソン・マーキー投手(元ナショナルズほか)や、アイク・デービス内野手(元メッツ)、サム・ファルド(元レイズ)外野手ら元メジャーリーガー組を軸に、マイナーリーグでプレーする選手が大半を占める。出場はともかく予備登録枠でも2013年に上原浩治と田沢純一両投手とともにレッドソックスのワールドシリーズ制覇に貢献した中継ぎ左腕クレイグ・ブレスロウ投手が控える。戦力的には予選で苦汁をなめた13年大会よりも厚みが増した印象だ。
スター選手の出場はかなわず
今回初めてWBC予選ラウンドを勝ち上がったことで、メジャーの主力クラスの参加に期待が高まったが、最終的には実現しなかった。その理由の一つにスケジュール調整の難しさが挙げられる。韓国で1次リーグを戦うイスラエルは出場国で最も早い3月6日に初戦を迎える。10日の1次リーグ初戦から決勝ラウンドまで国内で試合に臨める米国代表とは、移動の負担で大きな差がある。
メジャー2年目でアストロズの正三塁手候補のブレグマンは、イスラエル代表からオファーを受けながら悩んだ末に米国代表を選んだ。「(ルーツである)イスラエルでやりたい気持ちはあった。でも早くチームを離れないといけないので、海外でプレーすることはとても難しかった。米国代表なら移動の負担が少ないからね」と話す。ブレグマンのように今季飛躍が期待される若手にとっては、チームを離れる時期が長いことは大きなリスクとなるからだ。
また、ブレグマンはアマチュア時代から米国代表でプレーした経験があり、「最高の舞台で再び「USA」のマークを胸に付けてプレーしたかった」。ユダヤ系とはいえ、米国で生まれ育った選手にとっては「TEAM USA」の一員として戦うことはやはり特別なのだ。
実績のない若手には大きなチャンス
「ベースボールが大好きな両親の影響を受けて始めた。米国ではベースボールが生活の一部だからユダヤ系の人たちにとっても身近な存在だった。昨年代表の一員として予選に出たとき、両親がとても喜んでくれた」
日の当たらない場所で投げ続けてきた右腕は、親孝行の思いを胸に国際舞台のマウンドに立つことを心待ちにしている。