予選突破しWBC初出場のイスラエル サプライズのカギは結束力

岡田コウタロウ

ルーツへの思いを強くした親善旅行

予選を勝ち抜きWBC本大会を決めたイスラエルは結束力を武器に強豪に挑む 【MLB Photos via Getty Images】

 今年1月には選手10人と関係者がイスラエルを訪問。ベースボール専用グラウンドをつくるための寄付をするなど、現地の野球関係者やファンと交流した。イスラエルの野球競技人口は米国系移民を中心とした2000人〜3000人程と言われており、ベースボールはサッカーやバスケットボールに比べてマイナースポーツ。

 ベイカーは「将来的にイスラエルのベースボールを発展させる上で予選突破は意味があったと思う。まだ専用グラウンドは国内に3つくらいしかない。WBCを見てもっと多くの人がベースボールに関心を持ってくれたら嬉しい」と話す。ベイカーのように多くの選手が国際交流という観点から、WBCへの出場を意気に感じているようだ。また、イスラエル代表のWBCへの挑戦を描いたドキュメンタリーが制作されており、米国でもにわかに関心が高まっている。

韓国、オランダ、台湾相手にどう戦うか

 プールAには韓国やオランダ、台湾がおり、苦戦が予想される。それでもサプライズを起こす可能性を探るなら、イスラエルの結束力は他国にはない強みかもしれない。ベイカーは「野球界でユダヤ系選手の数はそれほど多くない。プロレベルとなるとさらに数は減る。グラウンドで見かけるとお互いに必ず挨拶するし、仲間意識が強い。だからこそ、予選で一丸となってプレーできた」と話す。また、ユダヤ系メジャーリーガーの代表格であり、レッドソックスや東北楽天でプレーしたケビン・ユーキリスも「世界の人口規模で見てもマイノリティー。メジャーリーグではさらにそれを感じる」と言う。結束力の強さを短期決戦で生かせれば、1次リーグ突破も見えてくる。

 13年以来の開催となるWBCで、「世界一」を目指す戦いが幕を開ける。もし1次リーグでイスラエルが健闘するようなら、関心はより高まるだろう。それが将来的にトップクラスのユダヤ系メジャーリーガーの参加につながる可能性もあるし、そうすれば新たな強豪国誕生への期待もわいてくる。日本や米国、ドミニカ共和国、ベネズエラといった野球大国の戦いとともに、イスラエルの挑戦にも注目してみたい。

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