世界戦13試合で奪ったダウンは合計30回! データが証明する「神の左」山中慎介の凄み
12度目の防衛戦でも「神の左」で5度のダウンを奪ったWBC世界バンタム級王者の山中慎介 【写真は共同】
そのほとんどが「神の左」と称される左ストレートである点も興味深いところだ。
1試合平均2.3という驚異のダウン奪取率
11.11 エスキベル(メキシコ) 11回TKO 2 王座獲得
12.4 ※ダルチニャン(アルメニア) 12回判定 0 防衛
12.11 ※ロハス(メキシコ) 7回KO 1 防衛
13.4 ※ツニャカオ(フィリピン) 12回TKO 3 防衛
13.8 ニエベス(プエルトリコ) 1回KO 1 防衛
13.11 ゲバラ(メキシコ) 9回KO 3 防衛
14.4 ジャモエ(ベルギー) 9回TKO 4 防衛
14.10 ※スリヤン(タイ) 12回判定 3 防衛
15.4 サンティリャン(アルゼンチン) 7回KO 2 防衛
15.9 ※モレノ(パナマ) 12回判定 0 防衛
16.3 ※ソリス(ベネズエラ) 12回判定 2 防衛
16.9 ※モレノ(パナマ) 7回TKO 4 防衛
17.3 カールソン(メキシコ) 7回TKO 5 防衛
※は元世界王者
世界戦13試合で奪ったダウンは合計30回という驚異のダウン奪取率 【赤坂直人/スポーツナビ】
1試合平均のダウン奪取率は1.4となる。戦闘スタイルや階級、さらにはルールや対戦相手など諸条件が異なるため一様に比較することはできないものの、山中が世界戦で奪った30回というダウン数と2.3というダウン奪取率がいかに突出した数字であるかが分かるだろう。ちなみに同じバンタム級のライバル王者、ジェイミー・マクドネル(英)はWBA王座を5度防衛中だが、戴冠試合を含めた6試合で奪ったダウンは2回、ダウン奪取率は0.33である。
一方、今回のカールソンがそうだったように、倒された相手がそのたびに立ち上がってきたという事実を指して「詰めが甘い」という声もある。しかし、トマス・ロハス(メキシコ)戦のように一撃で仕留めた試合もあり、これは必ずしも的を射た指摘とはいえまい。むしろ、ホセ・ニエベス(プエルトリコ)やアルベルト・ゲバラ(メキシコ)戦のように、体重が乗り切らない不十分なパンチでも相手を吹き飛ばしてしまった事実の方に目を向けるべきではないだろうか。
さらに細かく見てみると、山中は13度の世界戦(全勝9KO)のうち11試合でダウンを奪っている。ちなみに強打に耐え抜いた二者のうちのひとり、WBA王座を12度防衛した実績を持つ元王者のアンセルモ・モレノ(パナマ)は「打たれないことには絶対の自信がある」と話していたが、再戦では左を被弾して4度もキャンバスを這ったあげくキャリア初のKO(TKO)負けを喫した。
【赤坂直人/スポーツナビ】