
男子プロテニスツアーの「ATPワールドツアー2017」がシーズン第2幕を迎える。グランドスラム(四大大会)2戦目となる全仏OP(5月28日〜6月11日)を視野に、世界ランキング5位の錦織圭(日清食品)はライバルたちより一足早くクレーコート対策に着手。南米2連戦のアルゼンチンOPで準優勝し、20日開幕のリオOP(26日決勝)に臨む。
リオといえば、昨夏には強敵ラファエル・ナダル(スペイン)を破り銅メダルを手にしたリオ五輪が記憶に新しい。会場が違うため五輪はハード、今回はクレーというサーフェスの違いはあるが、リオは錦織にとって験のいい場所と言えるだろう。ちなみにリオOPの会場であるジョッキー・クラブ・ブラジレイロは五輪会場から北東に270キロほど離れている。ちょうど東京−福島間や東京−名古屋間に匹敵する距離だ。
ハードよりも高いクレーでの勝率

アルゼンチンOPやリオOPは、日本のファンにとってあまりなじみのない大会かもしれない。それもそのはず、この時期の錦織は例年ならば米国のメンフィスOPに出場するのが既定路線。メンフィスOPは過去4勝を挙げている相性のいい大会だ。にもかかわらず、今回南米へ飛んだのは、少しでも早くクレーコートで全仏OPの準備をしたいという陣営の強い思いがあったからだろう。とりわけ昨シーズンの錦織はハードに比べて得意ではないクレーでの勝率が高く、昨年のバルセロナOPで準優勝、続くマドリードOPとイタリア国際でもベスト4に入った。グランドスラムの中でも遠いと思われてきた全仏優勝を本気で狙っているのだ。
ちなみにリオOPにエントリーした選手で錦織のライバルになりそうなのは、23歳で世界ランキング8位と勢いのあるドミニク・ティエム(オーストリア)と、昨年の同大会準決勝でナダルを下し優勝した世界ランキング30位のパブロ・クエバス(ウルグアイ)あたりか。
ナダルが欠場 フェデラーはドバイへ
シーズン最初のグランドスラムである全豪OPを大いに盛り上げた優勝者のロジャー・フェデラー(スイス)と準優勝したナダルの動向だが、疲れ知らずのフェデラーはハードコートのドバイ・チャンピオンシップ(2月27日〜3月4日)に出場予定。世界ランキング1位のアンディ・マリー(イギリス)と同3位のスタン・ワウリンカ(スイス)もドバイにエントリーしている。
一方、ナダルは先週、オランダのロッテルダムで開催された屋内ハードの大会に出場するはずだったが、開幕の数日前に「全豪OPの疲労が残っている」と欠場を発表。代わってメキシコ・アカプルコのハードコートの大会(2月27日〜3月4日)に出場するという。クレー2連戦の錦織に対し、上位陣は軒並みハードコートの大会をチョイスしているのが分かる。