快進撃を続ける昇格組ライプツィヒの強み 他の追随を許さない「反応速度」の速さ
第16節まで戦って2位と躍進
昇格組ながら第16節終了時点で2位につけるライプツィヒ 【写真:ロイター/アフロ】
W杯開催中は確かに盛り上がった。だが祭りも終えんの時を迎えると、「無用の長物」「税金の無駄遣い」という声ばかりが聞こえるようになってしまう。取材で訪れたときに少し郊外に予約したホテルの周りは夜になると明かりが極めて弱く、周りに家がほとんどない田舎のホテルのほうが明るい感じがするほど。薄暗い夜道をとぼとぼと歩き回ってようやく小さなケバブ屋さんを見つけたことを思い出す。
あれから、10年。突如ブンデスリーガに現れたRBライプツィヒというチームがドイツのサッカーファンを驚かせている。昇格クラブながらドルトムント(1−0)、レバークーゼン(3−2)、シャルケ(2−1)と並みいる強豪を次々に撃破。今年最終戦となった第16節のバイエルン戦は4連覇中の王者に力の差をまざまざと見せつけられ、0−3で一蹴されてしまった。監督のラルフ・ハーゼンヒュットルも「前半はノーチャンスだった。自分たちがベストパフォーマンスを出せていたとしてもきっと難しかったことだろう」と素直に脱帽。とはいえ、偶然ではなく自分たちの力で2位(第16節終了時点)という位置に付けている彼らへの評価が下がることはない。
ラングニックが植え付けたサッカー哲学
スポーツディレクターのラングニック(左)とハーゼンヒュットル監督の功績は大きい 【Getty Images】
前線からの激しいプレスでボールを奪い、そこから一直線にゴールを狙う彼らのサッカーはドイツの現場に新風を巻き起こした。そして12年にはレッドブルザルツブルクとRBライプツィヒ両クラブのスポーツディレクターに就任し、自身のサッカー哲学をクラブに植え付けていった。
ラングニックは自身のサッカー観について、ドイツサッカー協会公認A級・プロコーチライセンス(UEFA・A/Sライセンス)保持者対象に行われる国際コーチ会議で10年に特別講師として招かれたときにこんなふうに話をしていた。
「攻撃において何が大事か。それはスピードとプレーアイデアだ。アイデアといっても、どこでどのようにスピードを上げるのか、あるいは相手のスピードを落とさせるのかがポイントになると考えられるので、そういう意味でも一番大切なのはスピードだと言える」
「ボールを奪われることをミスだと捉えないことだ。パスミスをせずにゴールまで迫ると考えてはだめなのだ。パスミスもゴールに向かうための大事なプロセスの一つ。奪い返すことも含めてのチャレンジ。パスを出せるかもしれないスペースがある時に、0.5秒迷うだけでそのスペースは消えてしまう。勇気がなければ。若い選手にとって、リスクを冒して積極的にプレスを仕掛け、ボールを奪い取り、素早く仕掛けていくサッカーは冒険のように魅力的なんだ」