ウインター杯を盛り上げる男子代表候補 大混戦を制し、来年のU19世界選手権へ

小永吉陽子

インターハイ覇者を支えるツインズ

重冨ツインズを中心にインターハイ制覇、2年ぶりのウインター杯に臨む福岡第一の選手たち 【写真は共同】

「第47回全国高等学校バスケットボール選抜優勝大会(ウインターカップ)」が23日、東京体育館で開幕する。今年の男子は大混戦と言われている。その理由は、昨年ウインター杯3連覇を果たした明成(宮城)や決勝へ進出した土浦日本大(茨城)に代表されるように、下級生時から試合経験のキャリアを積んできた選手やチームが少ないからだ。また序盤から有力チームのぶつかり合いが多い組み合わせのため、勝ち上がりを予想するのは難しい。

 その中でもインターハイ優勝の福岡第一(福岡)、準優勝の東山(京都)は下級生時より主力を務めるメンバーが活躍しており、秋の国体でも経験を積んだことから、優勝候補の筆頭に挙げられる。

 福岡第一のトランジションゲームをつかさどるのは重冨周希と重冨友希のツインズ(共に172センチ)。キャプテンでポイントガードの周希とシューティングガードの友希の共通点はスピードとディフェンス力があること。周希のパスから友希が走るコンビプレーも息がぴったり。

 普段はお互い会話をあまり交わさないというが、それでも西福岡中時代に全国大会で準優勝を遂げた経験もあり、「お互いのやりたいことは分かる」と口をそろえる。

 二人はインターハイでの活躍が認められ、10月から始まった来年のU−19世界選手権の強化合宿メンバーに招集され、さらにディフェンス力に磨きをかけている。

「高校最後の大会なので相手も死に物狂いでくると思うけれど、自分たちも追われる立場として油断せずに一戦一戦、気持ちを込めて戦いたい」(重富周)

 夏の借りを返そうと冬に向けて雪辱を期している東山のエースは岡田侑大(187センチ)。2年次に地元の京都で開催されたインターハイでベスト4に進出し、その名をとどろかせた。ドライブインやステップワークを得意として得点を量産するポイントゲッターで、留学生でインサイドを務めるカロンジ・カボンゴ パトリックとの息も合っている。

 両チーム共に、昨年は福岡大附属大濠、洛南の前に涙を飲んで出場権を得られなかった。優勝候補ではあるが、福岡第一は2年ぶり、東山は4年ぶりの出場となるだけに、“高校生バスケの聖地”東京体育館の持つ独特の雰囲気に早く慣れ、いかに平常心で戦えるかがカギとなるだろう。

来年も期待したい成長著しい2年生

 ウインター杯は3年生が結束したチームが強いが、下級生の成長も上位進出には見逃せない要素である。

 2年生の中で圧倒的な存在感を見せているのが、北陸学院(石川)の大倉颯太(184センチ)。抜群の身体能力から繰り出すドライブインや3ポイントが得意だが、外から攻めるだけでなく、ポストアップやリバウンドなど内外角をオールラウンドにこなし、周りを生かすこともできる。布水中時代に全国大会で優勝しており、試合経験も豊富。北陸学院の上位進出へのキーマンとなる選手だ。

 厚い選手層で上位進出が期待される桐光学園(神奈川)のセンター、宮本一樹の名前も挙げておきたい。195センチの高さを持ち、U−19代表の強化合宿に選出された注目株だ。また、明成(宮城)の相原アレクサンダー学(185センチ)はポイントガード修業中で、トリッキーなプレーで大会ごとに成長している選手。長い手足を生かした予測不可能なプレーが飛び出せば、面白い存在となるだろう。

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著者プロフィール

スポーツライター。『月刊バスケットボール』『HOOP』編集部を経て、2002年よりフリーランスの記者となる。日本代表・トップリーグ・高校生・中学生などオールジャンルにわたってバスケットボールの現場を駆け回り、取材、執筆、本作りまでを手掛ける。

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