ウインター杯を盛り上げる男子代表候補 大混戦を制し、来年のU19世界選手権へ

小永吉陽子

高さで猛威を振るう留学生たち

U18代表として世界選手権出場に貢献。今年も東京体育館でシューターとしての活躍が期待される杉本(背番号8、写真は昨年のウインター杯) 【写真は共同】

 高さでゲームを支配する留学生として注目したいのが、帝京長岡(新潟)のディアベイト タヒロウ(203センチ、マリ共和国出身)と東山のパトリック(206センチ、コンゴ民主共和国出身)。二人ともデビューした1年次から衝撃的なプレーで注目を集めてきた選手だ。

 今年のナンバーワン留学生と呼び声が高いタヒロウは、持ち前のフィジカルの強さに磨きをかけて最後の大会に臨む。チームメイトからのロブパスを受けてインサイドを圧倒し、1対1にも強い。何よりも状況判断に優れたクレバーさもあり、どのチームもタヒロウのマークには手を焼くだろう。

 攻撃的な東山のゴール下で猛威をふるっているのが、パトリックだ。高さを武器として1年時からチームの軸として活躍。2年生となった今はポイントガードの藤澤尚之、エースの岡田侑大とのコンビプレーにも磨きがかかる。

 また、インサイド主体の留学生が多い中で、八王子(東京)のドゥドゥ・ゲイ(203センチ、セネガル出身)はアウトサイドシュートと走力あるプレーを得意とする。もちろん高さを生かしたリバウンドやブロックも必見だ。

競争力のある大会に

 今年の夏、U−18アジア選手権で準優勝し、来年のU−19世界選手権の切符を獲得した日本。1998年、田臥勇太(現栃木ブレックス)らを擁して3位になって以来、18年ぶりの快挙だった。その中心は福岡大附属大濠の西田優大(189センチ)と土浦日本大の杉本天昇(185センチ)らシューター陣だ。二人は共に、今年12月に発表された「日本代表候補重点強化選手」の68名に選ばれており、そのシュート力の高さは高校生では群を抜いている。

 西田はU−16代表に続いてU−18代表でも主力として安定した活躍を見せた。モーションの速いフォームですきあらば3ポイントを射抜く。3年生になってからは3ポイントだけでなく、ドライブインやポストアップなども心がけ、万能型のスコアラーとなる成長も見せている。

 杉本は昨年のウインター杯で決勝進出の原動力となった選手。どんなに遠くても、どんなに体勢を崩しても打ち切る3ポイントシュートが武器。また機動力もあり、今年のU−18アジア選手権・カザフスタン戦では43得点をマーク。最後の冬に向けて一段と得点力に磨きをかけている。

 しかし彼ら二人は今夏のインターハイを戦わずして終えてしまった。インターハイ1回戦がU−18アジア選手権の決勝の日と重なり、イランの地にいたからだ。エースを欠いた両チームはあえなく初戦敗退。頼もしいエースがコートに戻る今大会、世界への切符を勝ち取ったシュート力と、夏の無念を晴らす活躍を発揮したいところだ。

 今大会に出場する代表候補は他に、インターハイでベスト4に躍進した福島南(福島)の司令塔、水野幹太(183センチ)、インターハイ出場を逃したものの国体では京都の一員としてオールラウンドなプレーで優勝に貢献した洛南の津屋一球(188センチ)、昨年洛南を破ってベスト8に進出する原動力となった近畿大附属の西野曜(197センチ)、福岡大附属大濠からは西田のほかに、キャプテンの鍵冨太雅(192センチ)、次世代のポイントガード中田嵩基(175センチ)も選出されている。さらには、U−18アジア選手権に出場していないが、その後に強化合宿に抜擢された正智深谷(埼玉)の山口颯斗(193センチ)にも注目だ。

 代表としてアジア選手権に出場した選手たちには、アジアで戦った攻防の強度やチームをけん引するプレーをコートで存分に披露してほしい。そうしたプレーがひいては、日本のレベルを底上げしていく。また今大会で活躍が目覚ましい選手はU−19代表候補に選出される可能性もあることを最後に記しておきたい。チームとしても、選手個人としても、競争力の高い大会となることを期待したい。

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著者プロフィール

スポーツライター。『月刊バスケットボール』『HOOP』編集部を経て、2002年よりフリーランスの記者となる。日本代表・トップリーグ・高校生・中学生などオールジャンルにわたってバスケットボールの現場を駆け回り、取材、執筆、本作りまでを手掛ける。

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