群雄割拠の男子、女子は桜花の3冠なるか ウインター杯2016は23日開幕

鈴木栄一

明成のような抜けた存在はいない

八村(写真左)らを中心に明成が3連覇を果たしだ男子だが、今年は本命不在の大会となりそうだ 【写真は共同】

 高校バスケットボールの冬の祭典「第47回全国高等学校バスケットボール選抜優勝大会(ウインター杯)」が東京体育館で23日に開幕する。昨年まで男子は八村塁(現ゴンザガ大)が圧倒的な存在感を発揮した明成(宮城)が3連覇を成し遂げていた。しかし、今年は明成のような抜けた存在はなく、まさに群雄割拠。シード校が序盤にいくつか敗退したとしても決して驚くことはないだろう。

 インターハイ覇者で第1シードの福岡第一(高校総体1)は双子の重冨兄弟(周希、友希)、200センチの留学生・蔡錦ギョクと3年生を軸に、2年生の松本礼太、バム・アンゲイ ジョナサンらとインサイド、アウトサイドのバランスが取れている。このブロックは福岡第一と、194センチの大型ガード、赤穂雷太を擁する市立船橋(千葉)がベスト8で激突する公算が高いだろう。

 岡田侑大、カロンジ・カボンゴ パトリックの2枚看板が躍動し、インターハイで2位に入った東山。国体でも2人と洛南の津屋一球を中心にした京都が優勝しており、夏の勢いをしっかり維持している。しかし、東山のいるブロックには、1回戦から登場も優勝候補に値する爆発力を持っている名門・福岡大大濠(福岡)がいる。

 インターハイでは桐光学園(神奈川)に初戦敗退した福岡大大濠だが、インターハイの開催時期がU−18アジア選手権と重なり、西田雄大、鍵冨太雅、中田嵩基を欠いたことが大きかった。特に西田は、U−18アジア選手権で得点源の1人として大暴れしており、ウインター杯でも注目のスコアラーだ。
 ただ、組み合わせは美濃加茂との1回戦に勝つと2回戦で同じ名門の北陸(福井)、3回戦ではインターハイで敗れ、195センチのサイズがありながら非凡なアウトサイドシュート力を持つ宮本一樹を有する桐光学園が控えており厳しい。過去2年間はケガなどもありなかなか、万全の状態で臨めず早期敗退が続いていたが、全国でも1、2を争うタレント力は持っており今回のウインター杯でその本領を発揮できるのか注目だ。

シード校にとって怖い初戦に!?

 インターハイベスト4の福島南(福島)がシード校となるブロックは、一番の激戦区だ。U−18アジア選手権日本代表のガード・水野幹太を軸に高いチーム力を見せる福島南だが、他にも帝京長岡(新潟)に洛南、明成など有力校が名を連ねている。帝京長岡は、インターハイベスト8の開志国際との過酷な県予選を制し3年連続出場。NCAA(全米大学体育協会)1部ポートランド大学へ入学予定の203センチ ディアベイト・タヒロウは、東山のパトリックとともに今大会の留学生の中でも随一の実力者で、ゴール下を支配する。

 しかし、帝京長岡は初戦となる2回戦で、明成と尽誠学園(香川)の勝者と対戦する。今年は苦戦が続く明成だが、八村の弟である阿蓮など能力の高い選手はそろっており、潜在能力は高い。また、尽誠学園は毎年、統率の取れた質の高いチームバスケットボールを見せることで定評がある。そしてこの試合の勝者は、難敵との一戦に勝ったという勢いを得られる。一方、帝京長岡としては、トーナメントの初戦で、勢いに乗った相手と激突する厳しさがある。これは福島南も同じで、初戦となる2回戦で、1試合戦って大会の雰囲気に慣れた古豪・洛南と対戦するのは怖いところだ。

 最後に紹介するのは山形南(山形)と北陸学院(石川)のいるブロック。ここの本命は、インターハイはベスト8で敗れたが、国体では石川チームを2位に導いた中心メンバーがそろっている北陸学院。国体で重冨兄弟、西田といった福岡第一、福岡大大濠の主力をそろえた福岡を撃破しており、2年生ガードの大倉颯太、ゴール下に加え3ポイントも得意とする192センチの小室悠太郎と高いオフェンス力が魅力だ。

 そしてこのブロックで見逃せないダークホースが土浦日大(茨城)だ。インターハイでは1回戦敗退も、これはエースの杉本天昇をU−18アジア選手権で欠いたことが大きかった。卓越したアウトサイドシュート力を持ち、爆発力については今大会でも随一、一度、波に乗ると30点、40点を狙える杉本は、相手にとって大きな脅威。このようにインターハイ上位校以外にも有力チームがいくつも存在する今年のウインター杯は、まさにどこが上位に入ってくるのは未知数で、だからこその面白さがある。

1/2ページ

著者プロフィール

1977年、山梨県生まれ。アメリカ・オレゴン大学ジャーナリズム学部在学中に「NBA新世紀」(ベースボールマガジン社)でライター活動を開始し、現在に到る。毎年、秋から冬にかけて母校オレゴン・ダックスの成績に一喜一憂している。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント