ユタカ魅せた、サブちゃん3度目の涙……キタサンブラック完ぺき逃走でJC完勝

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絶妙ペース配分に後続動けず

武豊が作り出した絶妙ペース配分、最後の直線でさらに後続を突き放してみせた 【写真:中原義史】

 サブちゃんの全快宣言通り、キタサンブラックと武豊のジャパンカップでの戦いぶりは、確かに見る者を元気づけ、そして勇気づける力強い脚取りだった。

「相手もいることなので自分だけで位置取りは決められませんが、他の馬が先手を主張しなければハナに行こうと思っていました。スタートも決まったので、そういう形になりましたね」とレースを振り返った武豊。3ハロン目から12秒台にペースを落とし、前半1000メートルの通過が61秒7。

「いいリズムで行けましたね。今日の馬場状態を考えたら61秒台で行けたらいいなと思っていたんです」

 狙い通りドンピシャの絶妙ペース配分に、後続は行くことも退くこともできず金縛りのように動けない。もうこの時点で、武豊キタサンブラックがレースを完全に支配していたのだ。それは「競馬は全て武さんに任せた」と送り出した北島オーナーも、直感的に感じ取っていたと言う。

「双眼鏡で見ながら、これはいいペースだなぁとホッとしていたんですが、途中からもうどんどん行っちゃうんじゃないかと。他の皆さんには申し訳ないですけど、これはもう1着になっちゃうんじゃないか、ってね(笑)」

「僕が乗った中では今日が一番のパフォーマンス」

 後続に2馬身ほどのリードをつけたまま突入した最後の直線。ここでもキタサンブラックはまだまだ余力十分。武豊が語ったそのときの手応えが、こうだ。

「自信をもって追い出すことができましたね。余裕があったので、残り300メートルまでは後続を待つというか、最後の力を出し切ってしまわないように自分に言い聞かせていました」

2馬身半差の完勝、武豊も「今日が一番のパフォーマンス」と絶賛 【写真:中原義史】

 先行集団からはゴールドアクター、リアルスティールらが追いすがるが、逆にこれらを突き放していくキタサンブラック。残り1ハロンを切ったところで、今度は中団で脚をタメていたサウンズオブアースが一気に襲い掛かろうとするが、2馬身差から先がどうしても詰められない。そうして文字通り、影をも踏ませないまま完ぺきなる逃走劇を、武豊&キタサンブラックは完成させたのだった。

「本当に強い馬だなとあらためて思いました。僕が乗った中では今日が一番のパフォーマンスだったと思います」

 競馬ファンを魅了したこの色男コンビにはさすがのサブちゃんも「今日はいいスーツを着てきたんだけど、オレ、負けちゃうなぁ」と脱帽。何度でも繰り返すが、それほどまでにパーフェクトで、美しい逃げ切りだった。

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